4月初旬から履いていたアシックスの靴(ランウォーク)がヘタってきた。そもそもこの靴を買ったのは、それまで履いていた革靴のヒールが硬くて、足腰への負担が大きいことが理由だった。まるで地面と喧嘩しているようなガツガツとした歩き心地で、数km歩いただけで足首や膝が痛むので、散歩することさえ苦痛に感じるようになっていた。靴を変えてからは高級な絨緞の上を行くような柔らかな歩き心地になり、足の痛みもきれいに消えた。ゴアテックスなので撥水性や通気性にも富み、値段は高かったがいい買い物をしたと喜んでいた。
ただこの靴には大きな欠点があって、それはメンテナンスで延命することがほとんど不可能な点だ。4月初旬から今日まで少なくとも2〜300kmは歩いており、靴底がだいぶ摩耗してきているが、この靴の場合、靴底全体(オールソール)を張り替えることができず、交換できるのはヒールプラグというパーツだけ。これでは靴底がすり減ってフラットになるのも時間の問題で、いかにもコストパフォーマンスが悪い。
ヒールや靴底の交換など、物理的に剥がして新しいのを貼るだけの簡単なお仕事だと思うが、靴底を張り替えるとゴアテックスの求める品質基準を満たせなくなり、ライセンス上の問題が生じるのではないだろうか。ヒールプラグ交換には4週間以上かかるそうで、もし依頼するならもう1足用意しておかなければならないが、次は事前にちゃんと調べて、靴底全体を交換できるものを選ぼうと思っている。
今朝の散歩は立川~高松の4.2km。当初は拝島~西武立川を考えていたが、家を出てみると思いのほか日差しが強くて蒸し暑く、6kmほどあるこの区間を歩き通す自信がなくなった。
最初に上矢印ちゃんの家を覗いてみたがあいにく不在。今日の1匹目は排泄中の黒だった。
「排泄だなんてとんでもない、僕は大地を耕していたんだよ。〽母なる大地の懐に我ら猫の子の喜びはあるー」
奥の鉢割れはとっとと逃げ、残った大白斑は見覚えのある顔。5~6年前の一時期、上矢印邸で何度か見かけたことのある子だった(一例)。上矢印邸からここまでの距離は200mほどに過ぎないが、途中に30m道路を挟んでいるので、行き来していたとは意外だった。
そういやここは複数の猫の縄張りが錯綜する路地。奥の猫はまっすぐこちらを見つめている。
「国境警備で小競り合いが起きることってそれほど多くないんだけどね」
誰と睨み合っているのかと思ったら、門扉の向こうに黒白がいたのだった。こんな場所でも複数の朝食会場があるので、朝はどうしてもバッティングしてしまう。
逃げ切る前に何とか止まってもらってもう1枚。どうも俺は灰猫とは相性が悪く、懐いてもらった記憶がほとんどない。印象に残っているのは福生の青1号くらいかなあ。
ここは車が入って来ない快適な場所。現在は基本的に幅4m以上の道路に接していないと住宅が建てられないが、1950年に建築基準法が施行されるまでは、規制の強い大都市でも9尺(約2.7m)、場合によっては6尺(約1.8m)あれば良いとされていた。この道幅で通れるのはせいぜい牛馬や荷車程度で、それがのちに緊急車両の進入を妨げるとして問題になったわけだが、猫にとってはむしろそちらの方が都合がいい。立川にも古い基準で建てられた住宅がまだたくさん残っていて、そうした街にはおしなべて猫が多い。
散歩を終えたのは7時半。高松からモノレールに乗って多摩センターへ向かったが、出勤までまだだいぶ時間があったので、途中で降りてさらに少し歩いてみることにした。起伏の多い丘陵地ではあるが、子猫がいるという緑地の公園までは、駅から10分ほどの道のり。Twitterのフォロワーさんから教わった場所で舌を鳴らすと、か細い声で「にゃあ」と返事があり、茂みの中からスリムな黒白が現れた。
あいにく子猫は現れなかったが、この子にも会いたかったので、坂を登ってきた甲斐があった。実はこの子、ニュータウンに何匹かいるという、黒白ボスの妻なのである。
誰かと思ったら馴染の黒白。この子もやはり黒白ボスの妻なのだった。それぞれの妻は黒白の子を産んでおり、六花谷を含むこの地域は黒白だらけとなって大変分かりにくい。猫の黒い毛色は劣性遺伝で、アグチ遺伝子がホモ接合aaなので、黒白から生まれた子供が黒白になることは不自然ではないのだけれども。