二連休初日の今日はまったり過ごす日と決めていて、朝から軽く洗濯したり猫用品の掃除をしたほかは、サチコを撫でながら妻と談笑するなどして過ごした。午後からはサチコを台車に乗せて近所を一回りしてみたが、黒煙ちゃんや武蔵には行き会わなかった。
サチコが家に来て間もないころ、確か1歳かそこらだったと思うが、当時住んでいた新秋津の家から多摩湖畔へ散歩に連れて行ったことがあった。当時サチコ(および近所の猫たち)は家と外を自由に出入りしており、湖畔の広い緑地ならのびのび過ごせるだろうと思ったのだが、予想に反してサチコはぶるぶる震えるばかりで、その場にうずくまったまま一歩も動けなかった。猫にとって知らない土地が恐怖でしかないことをその時初めて知ったわけだが、不思議なことに最近はむしろ外に出たがるようになり、台車で移動していても、何かに興味を示すとすぐに飛び降りて駆け寄っていく。年とともに達観して怖いものがなくなったのか、それとも老衰で感覚が鈍ってきたのか、サチコとは親よりも長く暮らしているのに、まだまだ分からないことだらけだ。
前置きが長くなったが、そんなわけで今日は猫散歩には出なかったので、予定通り昨日の続きを紹介していく。六花谷をあとにしてニュータウンの森の中をさらに行くと、植え込みの陰で黒白猫が寛いでいた。
珍しく向こうから近寄ってきた。旦那を探しているのなら、六花谷では見なかったよ。
ここはとある団地アパートの駐車場。猫の集会所ともなっている車室の一つに常駐のポイントさんがいた。
微妙な色合いの毛色を正確に記録したいので、順光側から撮ってみたが、日差しが眩しくて目が開かない。これだとせっかくのブルーアイが分からないなあ。
ポイントさんはカメラを嫌がるので、一旦引いて広角側で撮影すると、奥の方にもう1匹いることに気づいた。
そして、そんな俺たちの一部始終をじっと見つめているのもいた。ここは安定の猫アパート。
この子は割と人懐っこかったと思うけど、もしもかして警戒されてる?
近寄る素振りを見せると駆け足で離れていく。これを数回繰り返すうちに自分が途轍もなく不審なことに気づいて、そそくさとその場をあとにした。
最後にもう一度ポイントさんを振り向くと、向きが変わっただけで目は開いていなかった。
黒白ボスのもう一匹の妻(池のほとりの妻)を訪ねて広い公園へとやって来たが、どう頑張っても茂みの奥から出てきてもらえず、絶望のあまり天を仰ぎ見ていると、視界の真ん中を猫が横切って行った。
両方の可能性を天秤にかけた結果、怪しいニンゲンにご飯をねだってみることを選択した黒白。可愛らしい声で鳴いている。
落ち葉の積もる下り坂、以前も猫に呼び止められた場所でまた鳴き声が聞こえた。
ここで美人黒白に呼び止められたのは8月のことだった。季節が移ろうのはあっという間で、葉っぱが色づくにつれて、出てくる猫の毛色も変わっていく。
散歩を終えて帰宅したのは14時すぎ。自転車で近所の猫路地に乗り入れると、前方に黒煙ちゃんの姿が見えてきた。
……で、濃厚スキンシップが始まると思いきや、なぜか長い長い毛繕いが始まって、あと50mで家なのに10分も足止めを食うことになったのだった。この日は六花咪の毛繕いも20分ぐらい待機していて、動物撮影は待つのが仕事なのだと実感した日だった。