マコちゃんというのはとても多くの声色を持っている猫で、近所中に響き渡るような遠吠えから、サイレントニャーの囁き声まで、あらゆる声色と声量を駆使して感情を表現する。中にはウンチの前後など、特定の場面でなければ聞けないような鳴き声もあり、こうした声を何とか記録しておけないものかとかねがね思っていた。色々考えた結果、超小型ボイスレコーダーを首輪にぶら下げてみることにしたが、日本のメーカーにはそれほど小さな製品は存在せず、猫がつけて邪魔にならないレベルとなると、Amazonに出ている怪しい中華製しか選択肢がない。かつて電気製品の小型化といえば日本の独壇場だったが、今さらそうした製品で大儲けできるほどの需要はないのだろう。
ゴミが届くことを覚悟で注文した超小型ボイスレコーダーは寸法40mm×35mm×9mm、重量34g。普段我が家は猫に首輪をつけない主義なので、ベルトタイプではなくシュシュを緩めにつけて、首の異物に慣れるところから始めた。数日経ったところで首輪にボイスレコーダーを装着し、また何日か様子を見て問題なさそうだったので録音本番と相成った。
初めての録音は30時間以上つけっ放しだったが、無音部分は自動でカットして、ファイルも時間で分割してくれるので、試聴はそれほど難儀ではなかった。オーディオエディタで開いたファイルを再生していると、音声の波形でどんなシーンなのかが予測できるようになってくる。ざっくり分類すると、録音時間の6割はジャリジャリジャリジャリという毛繕いの音で占められており、肝腎の鳴き声は1割にも満たない。寝ている時は無音なので録音されないと思っていたが、マコちゃんは意外に寝息が大きく、いびきや寝言も多くて、2割くらいがそれらで占められていた。ほかにもご飯を食べる音、水を飲む音、階段を上り下りする音、トイレの猫砂を掻く音、傍らのサチコが迷惑そうに呻く声などがあり、映像ではなく音声のみというところが愛くるしさを一層引き立てるから不思議だ。いずれ可愛いところだけ切り出して「我が家の猫たち」のコーナーに載せるかも知れない。
前置きが長くなったが、今日の記事は昨日の福生散歩の続きを。歓楽街の踊り子シスターズ3匹に会えて喜んだのも束の間、その後しばらく猫影が絶え、次に見かけたのは1時間も経ってからのことだった。
地面からこちらを見上げているのは顔見知りの黒白。
敷地内や近所で見かけることはたまにあるが、カメラに収まることは珍しく、撮影に成功したのは2018年3月以来。
警戒心が強いはずのキジ白が持ち堪えているので不思議に思っていたら、このあと間もなくしてご飯の人が現れたのだった。超能力か。
空が澄み渡りすぎてやたら青が強い日差しの下、青っぽく染まった白猫が佇んでいた。
近寄っても逃げ切らない子だが、閾値が大きすぎてこれ以上近寄らせてもらえない。灰色に染まった毛色は縦格子のフェンスを通り抜けた時に汚れちゃったみたい。
この日はとても寒い日で、八王子の最低気温は氷点下5.8℃、11時半の時点でも6℃ほどにしかなっていない。猫にとっても寒いはずだが、必ずしも日なたにいるわけではないから不思議だ。
6月ぶりの黒白。元気そうで何より。
春から秋までは背高の雑草で覆われ、まったく見通しの利かない原っぱ。この季節は枯れ野となって猫がよく見える。
若い三毛は大きな声で鳴いている。これだけ枯れていても、鳴き声が聞こえなければ気づかなかったかも。
三毛の足元では早くもオオイヌノフグリの花が咲いていた。今年は寒いのに頑張るねえ。
一方こちらは元から見通しの良い散策路。見つけて欲しい猫、欲しくない猫、それぞれ事情があるようだ。
「冬はたくさん食べないと体が持たないからね。美味しいものを持っているなら全部ちょうだい」
「言っとくけど我々は追い剥ぎじゃないぞ。そっちから来たんだからな」
何か出てくるかも知れないと悟った猫がもう1匹。今夜もきっと冷えるから、ある分だけは置いていくよ。
長い橋梁のたもとに猫発見。鉄道写真じゃなくて猫写真なので念のため。
反対咬合の猫はたまに見る。小動物を狩らなくなって、口当たりのいいものばかり食べているせいかしら。
背中を撫でるとリラックスしたように伏せた。君は思慮深い子だね。
このあとも歩き続けて拝島まで行くつもりだったが、スタートが遅かったため時刻はすでに13時近く、ここで切り上げてバスに乗った。明日と明後日は久しぶりの日勤で、朝の散歩で凍え死ぬ予定(ヘタレなければ)。