数kmの猫散歩を10年以上続けて、さぞかし体力がついただろうと言われることがあるが、そのようなことはまったくない。長い距離を歩けば疲れることに変わりはなく、超絶冷え性の俺はこの季節になると関節も痛むので結構辛い。体力増強のために歩くなら速歩や腿上げなどで有酸素運動にしないと効果がないと思う。
猫散歩を続けていて以前と変わったのは、歩くことを億劫に感じなくなったことだ。例えば友達の家に遊びに行く時など、駅から徒歩15分以上かかるような場所はバスかタクシーに乗る選択肢しかなかったが、今は1〜2時間程度の歩きなら心理的抵抗感はない。要するに10年あまりの猫散歩が俺にもたらしたのは、肉体的よりも精神的な変化だったのだと思う。現代の感覚では考えられないことだが、我が国の道路が未整備だった昭和30〜40年ごろまで、5kmや10km離れた学校へ通う子供は珍しくなかった。しかし50代の俺が毎日やっているくらいなのだから、当時の小中学生にとって、そのくらいの距離を歩くことは今の俺以上に楽だったはずだ。過疎地域などでバス路線の廃止が問題になったりもしているが、現代人は「歩く」という生活様式についてもう少し見直してもいいように思う。
……などと言ってみたものの夜勤明けの峠越えはやはり疲れるもので、今日は帰宅して炬燵に入るなり寝落ちしてしまった。歩いたコースは定番の多摩センターから堰場バス停まで。最初の猫は今年初となる団地のキジ白(妹)だった。
約1ヶ月ぶりだけど覚えていてくれたみたい。親愛の「にゃーん」が聞こえてくる。
お姉ちゃんは去年9月を最後に見ない。どこかで元気にしていればいいんだけれども。
多摩センター駅をスタートしたのは10時前。舌を鳴らしながら六花谷の階段を上って振り向くと、背後にゴンがスタンバっていた。
元旦以来のゴン。この子はカメラを向けていると不機嫌になってくるので、今日は撮影よりも遊ぶ方に時間をかけた。
毛並みは可もなく不可もなくって感じ。カリカリを与えた感じでは固いものが食べにくいようだ。
分水嶺を越えて緩い下り坂を歩いていると、前方の落ち葉の上に猫が見えてきた。
現場では少し痩せたように感じたが、前回(去年10月)の写真と比べてみるとそうでもなさそう。この3ヶ月の間に六花咪がいなくなってしまい、今はあの谷にボスが現れることもほとんどないようだ。
こちらは定点の猫アパート。いつもの場所に茶トラ白が座っていた。
ここでは少なくとも4匹の猫が暮らしているが、この場所はこいつ専用らしく、ほかの猫がいるのを見たことがない。今は冬毛なので普段よりだいぶもこもこしており、一瞬別猫かと思ったがそうではなかった。
こちらはポイント三毛。寒い日が続いているせいか、あまり調子が良くないようだ。
今日最後の猫は池のほとりで見かけた黒白。右側の一段高い植え込みには黒白ボスの妻が潜んでいるが、今日は呼んでも振り向いてすらもらえなかった。
この子はいつも忙しそうに歩き回っていて、なかなかカメラが追いつかない。今日も目線がもらえないまま茂みに潜ってしまい、二度と出てこなかった。