階段の窓を細く開けて外を見るとぽつぽつと雨音だけが聞こえた。日の出1時間前の屋外はまだ真っ暗で、路面が濡れていることは分かっても、その原因が雨なのか雪なのか判然としない。朝風呂から上がって6時半を過ぎると空が白んでいて、足元に纏わりつくマコちゃんとともに猫デッキに出てみると、どうやら降っているのは純然たる雨のようだった。「何だ、雨か」と思わず口を突いて出たのは、雨と雪では散歩の心構えがだいぶ違うからだ。雪の場合、衣服が冷え切ってしまえば、傘を差さなくてもそれほど濡れることはない。雨の場合はというと……、寝巻きに着替えて布団に戻りたくなる。
散歩コースは東中野バス停から多摩センターの4.8km。いつもよりやや遅めの7:20、バスから降りてみると雨は霙になっていて、それもほどなく雪に変わった。途中、敷地の奥に佇む2匹の猫をスルーしつつ、カメラの出番がやって来たのはスタートから40分後。猫アパートの黒白がエントランスで雪宿りしていた。
雪が激しくなってきたので、橋の下に移動してゆっくり構った。旦那は出てこなかったが、一緒に寝ていた可能性はある。この季節を単独で過ごすのは寒い。
こちらに気づくと駆け寄ってきてすりすり。こりゃ家に帰ったらマコちゃんが騒ぐなあ。
気温が高いせいか、被毛に落ちた雪は結晶の形を成していない。この谷を六花谷と呼んでいるのも、かつてここで暮らしていた猫を六花咪と呼んでいたのも、今日のような雪がきっかけだった。
カメラ嫌いのゴンだが、今日は丁寧に撫でてやったせいか、いつもよりは機嫌を損ねずに写真が撮れた。
雪は終日降り続いていたが、路面に積もるようなことはなかった。