多摩川沿岸には「たまがわ」と名のつく駅がいくつかあるが、その中で俺が最も頻繁に利用しているのは京王多摩川(京王相模原線)で、それよりぐっと頻度は下がるものの、次位につけているのは和泉多摩川(小田急小田原線)となる。もっと下流に行けば二子玉川(東急田園都市線)や多摩川(東急東横線)といった駅もあるが、これらは家や職場から遠すぎて俺のシマにはなっていない。ただし二子玉川は20代前半に住んでいたので土地勘はあり、猫散歩に訪れたことも一度だけある。
京王多摩川に人間の知り合いはいないが、猫の知り合いとなると例えばお焦げさんやその仲間たちがいる。和泉多摩川はもっばら夜勤明けに赴くことが多かったが、自宅から遠くてなかなか開拓が進まない上、最近は大した成果もないまま足が遠のいていた。この2駅は最短距離4.1kmを隔てて多摩川左岸に位置しており、京王多摩川をゴールにすると帰宅時に便利、和泉多摩川をゴールにすると出勤時に便利となると、両駅を結んで散歩しようと考えるのは自然なことだ。実際、夜勤明けに和泉多摩川から京王多摩川まで歩こうとしたことは何度もあるが、歩き通せたことは一度もなかった。長時間の拘束で体力が失われている上、猫を探してあっちふらふらこっちふらふらしていると、歩行距離が嵩んで途中で電池が切れてしまうからだ。
今日は出勤前だったこともあり、初めて全区間を踏破できたが、寄り道を避けたにもかかわらず歩行距離は7.9kmに及び、まだ夜勤が始まったばかりなのに超絶眠くて死にそうになっている。
1匹目はスタートから10分ほどで発見。2匹いるけど小さすぎて分かんないかも。
キジ渦はとっとと逃亡。残った黒は日陰で分かりにくかったかな。
臆病なキジ渦はこれが限界。油断している時にまた挑戦してみる。
今日は雲が多いせいか気温は20.6℃止まりで、普通に歩いている分にはそれほど暑く感じない。
こういう日は猫たちの行動もとりとめがない。とっくにお昼を過ぎているのに、顔馴染の黒白も無目的に佇んでいる。
フェンス越しに写真を撮って立ち去ろうとしたら、様子を見に出てきた。
そういうことならもう1枚。お焦げさんの路地で見かけたのはこの子だけだった。
民家のお庭でサバトラ発見。猫にとっては暑くもなく寒くもなく、ちょうどいい気温のようだ。
サバトラに逃げられて打ちひしがれていると、路地の向こうからもう1匹やって来た。
目をまん丸にしてこちらの出方を窺う茶トラ。君もサバトラの家の子なんだね。
そのサバトラは隣の家で足止めを食っている。待たせちゃってごめんごめん。
この横幅は見事というほかない。サチコの3倍ぐらいありそう。
狛江市内はほとんど新規開拓に近いが、それでも初めての子に会えたのは運が良かった。
塀の色に紛れて、最初はまったく気づかなかった。たまたまこの家から出てきた奥さんが猫語で話しかけていたので、よくよく見たらサビがいたという次第。
サビって秋の保護色だと思っていたけど、こういうパターンもあるんだねえ。
雑木林の向こうに丸くなってお昼寝する猫の姿が見えている。こんもりとした地面は6世紀前半の築造とされる古墳。
古墳というと以前よく猫散歩で訪れていた府中市内の上円下方墳が印象深いが、あれは2009年に復元工事を受けて立派な姿に蘇ったのであって、それまではここと変わらない雑木の生えた小山だった。古墳のあり方としてどちらが相応しいのか、古墳の存在しない北海道出身の俺にはよく分からないが、埋葬されている人にとっては、子供たちや猫が自由に遊べるこちらの方が淋しくなくていいように思う。
今日の散歩は古墳猫でおしまい。現代社会で暮らす俺が死んでも、自宅の庭に古墳を作って眠ることは法律上許されないが、猫にそうしてあげることはできる。ただ、基本的に外へ出ない我が家の2匹にとって、前庭が特別思い出深い場所というわけではない。人間も含めて、生き物というのは死んだあとどんな場所で眠るのがいいのか、未だに答えが出せずにいる。