寒波に伴う低温は一昨日の氷点下8.0℃が底だと思っていたら、今朝はもっと下がって氷点下8.7℃。朝起きたら水道が凍結していて、蛇口を捻っても水が出なくて焦ったが、全開にして10秒ぐらい待ったらドバッと出てきたので助かった。夜中に何度もトイレに起きた(そのたびに水を流す)のが良かったのかも知れない。頻尿も捨てたものではないな。
溜まった家事を片付けるため、猫関係業務をお休みしたので、今日は台湾猫旅3日目(1月10日)、小琉球散歩の続きを紹介する(前回はこちら)。小琉球は高雄市の南方40km、南シナ海に浮かぶ周囲12kmほどの島で、観光港である白沙尾港付近ではたくさんの猫を見かけた。街の中心部を1時間ほど探索したあと、公営船で東港に戻るため、3km離れた大福漁港へ向けて歩き始めたのは14:15。繁華街から離れても依然として猫影は濃く、ほどなくして小柄な黒に行き会った。
気を持たせるように、ちょこちょこ動き回る黒。何となくだけど、もしかしたらこの子はお母さんかも知れない。
たまにいるんだよね。目立つように動き回って、子供たちから気を逸らそうとする母猫が。こんなに大きな生き物(つまり俺)を相手に立ち回っているんだから、猫のお母さんはとても偉いのだ。
なお、おっぱいが確認できなかったので、この子が母猫かどうかは不明なんだけれども。
島を縦断する中山路から逸れて旧道的な路地に入ると、初めて騒音から解放された。この国の人々は近場の用でもすぐにスクーターに頼るので、どこへ行ってもエンジン音が響き渡り、静けさを味わう機会は皆無に等しい。「音」が苦手な俺はほっとして歩みを緩め、ついでに前方に猫が佇んでいるのを見つけてしまった。
君たち、あの騒音は平気なの? 俺は台湾が好きだけど、あれだけは慣れないんだよなあ。
静かな道をちんたら歩いていたら、時間が押してしまって、大福漁港にたどり着いたのは出港8分前。筆談で切符を買わなければならないので、急ぎ足で船着き場に向かっていると、脇道に複数の猫がいるのを発見した。
足下に群がるニワトリをかき分けつつ、怠惰な風体の猫たちを慌てて撮影。ここは茶系で構成されているようだ。
この子もM字ラインにレッドが混じってる。ネズミ対策の猫家族なのだろうな。
大福漁港から公営船に乗り、東港フェリーターミナルに戻ったのは15:40。このあと、この日の宿泊地である鵝鑾鼻へ向かうため、タクシーで5kmほど離れた大鵬灣バスターミナルに移動し、そこから墾丁快線と呼ばれる高速バスに乗ることになっている。発車時刻の17:20まで1時間半以上あり、その間にタクシーを探すつもりだったが、フェリーターミナルの前で客待ちしていたので、その必要はなくなった。つまり猫を探す時間ができたのだった。
東港の短い散歩で見つけた1匹目は麦わら。侵入者を見張っているような佇まい。
壁際の2匹はどちらも麦わら。小琉球では霜降り二毛が目立っていたが、本土はトラ模様の麦わらが多いみたい。
このあと予定通りタクシーで大鵬灣に移動し、そこから1時間半のバス旅で18:55墾丁到着。さらに乗り換えて終点の鵝鑾鼻にたどり着いたのは、とっぷり日の暮れた19:35だった。北緯21°54’、東経120°51’、台湾最南端の地へついに足を踏み入れたのだった。
途中通過した恆春や墾丁はそれなりに栄えた街だったが、岬の先端である鵝鑾鼻まで来るともう何もなかった。辺りは真っ暗で人の姿も猫の姿もなく、間断なく吹く風だけがやたら強かった。鵝鑾鼻バス停から5分歩いて宿に着くと宿泊客用の入口が施錠されていて、住居用の玄関に回って哈囉、哈囉と呼びかけると、高校生ぐらいと思しき息子がとてつもなく不審そうな顔つきで出てきた。危惧していた通り、予約を忘れられていたのだった。「我是日本人。I have a reservation」などとやってみたが、英語はともかく中国語すら通じない。こんな時間に北緯21°54’で路頭に迷うわけには行かない、何かいい方法はないかと考えて、予約時のLINEの会話を印刷して持ってきたことを思い出した。
この宿は台湾に多く見られる家族経営の民宿で、予約するには電話かFacebookかLINEで連絡する必要があった。俺はFacebookもLINEもアカウントを持っていないし、電話は論外だ。そこで、台湾華語を話せる人にお願いして代理で予約してもらったのだが、その際、LINEの画面キャプチャがメールで送られてきて、くれぐれも印刷して持って行くように言われていた。宿の人と直接やり取りしたその人は、俺以上に危惧するところがあったのかも知れない。息子にその紙を見せると効果てきめんで、身振り手振りで「中に入って座って待て」と家に招き入れてくれた。
しかし床に就くまでは長い道のりだった。俺を待たせて携帯電話で話す口ぶりからすると、親に電話して「予約入ってんじゃんどうすんだよ」といった会話をしているものと思われたが、それで確認が取れたとしても、予約した時に取り決めた条件までは伝わらない可能性が高い。つまり、スマホの翻訳機能で「料金は1,500元だよ」とのたまう彼に、「雙人房を一人で使うなら1,200元でいいって言われたよ。半額の600元は事前に振り込んであるよ」というような経緯を説明しなければならない。俺が値切っていると誤解した彼は、「こんなに広くて快適な部屋が1,500元なのにまだ不満なの」とアピールしてきて、面倒臭いので言われるまま払っちまえと思わないでもなかったが、路頭に迷わずに済みそうと分かると、今度はこのシチュエーションを面白がっている自分がいるのだった。俺のiPhoneと向こうのAndroidで静かな会話を交わした結果、最終的には残りの600元を支払うことで納得してもらえた。なお、最初に俺が口にした「我是日本人」は聞き取れなかったらしく、交渉が終わってからもしばらくの間、台湾華語の発音指導を受けることになった。サービスのつもりらしかった。
次回は台湾猫旅4日目から。