梅雨に戻ったかのような天気がこの先も続くらしく、ますます気が滅入るが、猫を探す身としては曇っていた方が見つけやすいし体も楽なので複雑な気分だ。ストレス解消に小旅行に出かけようと思っていても、2週間先まで大部分の日に雨マークがついているので日程が決められない。鉄道なら思い立ったその時に乗れる余地があるが、飛行機だとそうも行かないので困ってしまう。ぎりぎりまで押さえておいて、天気次第で直前キャンセルということもできなくはないが、あまりそういう方法は取りたくない。
そんな逡巡の思いをさらに増幅させるかのように今日の猫散歩も雨。昨日は早めに家を出て都心まで行ったので余力がなく、夜勤明けの散歩は六花谷を抜けて分水嶺を超え、堰場バス停までの5.3kmに留めておいた。「留めておいた」という割に5km以上歩いたのは、敷地の奥で寝ている猫を諦め切れず、同じ路地を行ったり来たりするようなことがままあるからで、それがなければ1km以上短くて済んでいたはずだ。
六花谷のゴンは濡れ縁で雨を眺めていた。
ここのところいつも急ぎ足だったなあ。今日はゆっくりして行くよ。
ここはとても蚊の多い場所で、この季節になると、ゴンの耳の裏はいつも真っ赤になってしまう。もちろん俺も刺されるが、体質なのか痒くなったり腫れることはほとんどない。猫も人間も蚊に刺された時の症状は個体差が大きい。
六花谷を抜けて分水嶺の二重橋に差しかかると、コンクリートの斜面で休む猫が見えた。
気配を察して目を覚ました妻。5月に出産したと聞いていたが子猫は見当たらない。すでにどこかへ貰われて行ったのかも知れない。
黒白ボスは2ヶ月半ぶり。初めて会ったころ(2016年10月)と比べるとだいぶくたびれているが、これはボス業務がそれだけ過酷ということだろうし、毎年全力で繁殖に取り組んでいるからでもあるのだろう。
とはいえ猫の世界は甘くなく、妻が産んだ仔には黒白のほかに茶トラがいたそうだ。黒白同士の交配で茶トラが生まれることはないので、父親は黒白ボスではない。あるいは同期複妊娠だった可能性もある。
いちゃつきだした2匹と分かれ、緑道を舌を鳴らしながら歩いていると、茂みから茶色いのが飛び出してきた。
美人黒白に会いたくて通った道だがあいにく不在のようで、出てきたこの子はその弟。
定点の猫拠点でカメラに収まったのは茶トラ白が1匹。馴染のオッドアイも見かけたが、いくら呼んでも出てきてもらえなかった。
5mよりも近寄ると逃げてしまうのは従前通りだが、呼びかけると返事するようになった。この調子で今後も頑張る。
きれいなクリームの毛色。首輪をしているので近所の飼い猫だろうけど、見かけるのはたぶん初めて。また寄り道コースが増えてしまったなあ……。