夜勤を終えて社屋を出ると涼しかった。ワイシャツの袖を下ろして歩くのは久しぶりだった。霧雨は降っていたが気にならなかった。暑いよりよほどマシだからだ。
今日の散歩コースは昨日のうちから決めていた。モノレールを柴崎体育館で降りて、雨の上がった谷筋の緩い坂を下っていくと、民家の庭に見覚えのある三毛が潜んでいた。
ゆっくり1号の縄張りに寄ってみたが、相方のキジトラとともにどこかへ行ってしまって不在だった。諦めて歩き出したところで1匹発見。
もともとアパートが建っていたところがコインパーキングになっていて、車の横に黒いのが佇んでいた。
模様がなくても、緑色の瞳は覚えてる。JTKの相方だ。毎日湿気がひどいので、こいつも白癬になっちゃったか。
用を済ませたあと、今まで何度となく訪れた駐車場に寄ってみた。
七三ファミリーは根子岳へ旅に出たようだ。終わりのない片道切符の旅だ。
一人留守番を預かる母。もうしばらくしたら、根子岳の父や子供たちにきっと会えるよ。俺もそのうち行くだろうから、その時はまたよろしく頼むよ。