かねてから決めていた通り、今日はUC Davis VGLにマコちゃんの遺伝子検査を依頼した(サチコは9月に実施済み)。今後、エアメールで検査キットが届くはずなので、口腔内の粘膜を採取して送り返せば、10日程度で結果がメールで送られてくるはずだ。
本題の方は今日も台湾猫旅3日目(11月27日)の続きを。この日は朝の奮起湖でとても人懐っこい黒白に出会い、幸先の良いスタートを切った。ちなみに奮起湖という地名ではあるが、この地に湖はなく、元は閩南語の畚箕湖(Pùn-ki-ôo)という地名だったそうだ。畚箕というのはちり取りのことで、山並みに囲まれた集落の窪地がそのような形をしており、そこに雲海ができると湖のように見えたので畚箕湖。日本統治時代の1911年に似た音の奮起湖(Funkiko)に変更され、現在は台湾華語でFènqǐhúと発音する。
奮起湖で1時間半ほど散歩したあとは、タクシーで十字路へ移動。さらに路線バスに乗り換えて、お昼前にはついに阿里山へと到達した。阿里山駅の標高は2,216mに達し、そのような場所に果たして猫が生息しているものなのか、蓋を開けるまでは不安に思っていたが、歩き始めるなり3匹の猫に遭遇したのが前回の記事。
この日の宿泊地は高雄市内で、十字路から嘉義までは、林鉄で3時間かけて山を下りなければならない。阿里山の滞在時間はわずか1時間しかなく、残り35分でどうなるものかと思っていたところ、道端から猫の大きな鳴き声が聞こえてきた。
でかい声で鳴いていたのは赤茶けたキジトラ。20MPMに迫る勢い。
台湾にはこのような悩ましい毛色のキジトラが多い。かつて美人さんを三毛と見誤ったように、この子も二毛に見えてならないが、明らかなレッドが見当たらないので、やはりキジトラに分類しておく。
これは人懐っこい子。俺もあやかろうと思い、指で挨拶を試みたが、微妙な反応を示したままどこかへ行ってしまった。一部始終は短い動画にて。
立ち去るキジトラを見送っていると、駐車場の向こう側を茶トラが横切った。そこの猫ちょっと待ったー。
阿里山12:40発、7322路のバスで十字路に戻る。この2日間で経験したどのバスよりも穏やかな運転で、このまま乗っていれば車酔いもせず、嘉義には14:43に到着できるが、それでは今回の旅の目的の一つである阿里山森林鉄路を体験できない。台鉄完乗と林鉄乗車のために、猫探しに不利な旅程を3日間も続けてきたのだから、今さら予定を変えることは考えられない。ただしトロい林鉄では嘉義まで3時間かかるので、この日の猫散歩はこれでおしまいとなる(本記事の続きはこちら)。
バスを降りて林鉄の十字路駅に行ってみると、嘉義から登ってきた列車がすでに入線していて、折り返しの発車を待っていた。10人ほどの観光客が所在なげに線路を歩き回っていて、賑やかな台湾語を話す彼らから離れ、線路を歩いていると、草むらに白い物体が蠢いていた。
おお、猫だ! しかも興奮している。朝来た時は犬だけだったのに、今日はツイているな。
助けを求めて飛び込んできた犬。よし、次は俺が相手だ(続きは動画で)。
この子の名前は皮蛋。傍らで草刈りをしていた飼い主のおばさんが教えてくれた。あとで調べてみたら、中国語圏で皮蛋という猫の名前は珍しくないようで、台湾だけでなく大陸や香港でも見つかった。剥いた皮蛋が猫の目のように見えるからだろうか。日本にもピータンという名前の猫はいるので、皮蛋を食べる国共通の名前だと思う。
線路は錆び付いている。林鉄は険しい地形や度重なる災害が影響して、何度となく運休と再開を繰り返しており、現在も十字路〜第一分道が不通のまま。嘉義からの列車は十字路で折り返してしまうので、その先の線路は動物たちの遊び場だ。完全に廃線となれば家庭菜園にもなりそうなものだが、たまに工事車両が通るらしく、10年も運休している割にしっかりした道床だった。
同じ場所から嘉義方向を望む。奥に止まっているのが13:50発の嘉義行き阿里山号。世界的観光列車だから激混みかと思っていたら、俺のほかに乗ってきたのは10人ほど。指定席なので乗りっぱぐれる心配はなかったが、2週間前の発売日、パソコンに張り付いて予約しただけに、この時は何だか拍子抜けした気分だった(奮起湖からどっさり乗ってきた)。
雲の切れ目から日が差すと、2匹とも日陰でまったりタイムに入った。
犬の眉毛は飼い主のおばさんが描いたようだ。この辺りは原住民のツォウ族が多いそうなので、そうした人々の風習かも知れない(単なる遊び心かも知れない)。人懐っこいこの2匹に会えただけでも、阿里山くんだりまで来た甲斐があった。