「手ぼっこ」「足ぼっこ」というのは、寒さで手足がかじかんだ状態を差す言葉。高校生の時にしか使わなかった言葉なので、方言というより学校独自の言い方だったのかも知れない。
朝から雪になったので、早めに夜勤を切り上げて、帰りついでに猫を探して西国立から歩いてみた。こんな天気の日は、外に出ている猫など皆無と思う人もあるだろうが、実はそんなことはなくて、見かける頻度は低いものの、それなりに出歩いている。雪がどっさり降ったとしても、東京の場合はせいぜい0℃程度で、健康な猫なら生命に関わるほどの気温ではない。むしろ天気の良い明け方の方が気温は低く、八王子の場合は氷点下7~8℃になることもある。そうなってくると猫の方もだいぶキツいし、それを探す俺のような人間も泣きが入ることになる。
アパートの廊下からこちらを見下ろす猫発見。
外に出たがっている様子だったので、少し離れたところで観察していると、案の定降りてきた。この天気でも巡回するのかな。
「ここから先はゴクヒな秘密だから、お見せできないんだよ。ごめんね」
手がかじかんで指先に力が入らず、カメラを落としそうになったりしているうちに、どこかへ逃げてしまった。可愛らしい足跡は、ほどなくして雪に埋まった。