このブログを始めて間もないころ、「猫に湿気は関係ない?」というタイトルの記事を書いたことがあって、今でも「猫」や「湿気」といったキーワードで検索して来る人が一定数いる。タイトルに「?」が入っているように、あの時は推測でしかなかったが、あれから3年に渡り夥しい数の猫を観察して、当時の推測が少しずつ確信に変わってきている。体温維持(上昇防止)という観点から見た場合、恐らく猫に湿気はあまり関係ない。
暑い時、人間は汗をかいて、その気化熱で体温を下げる。湿度が高いと空気中の水蒸気が飽和量に近くなって汗が気化しにくくなり、体温が上がってぶっ倒れることになる。一方、猫の場合は汗腺が体のごく一部にしかなく、汗で体温を下げることができない。だから猫は暑い時、コンクリートやマンホールの蓋、室内飼いならフローリングの床や玄関の三和土など、熱伝導率の高いものの上に伸びることで、接地面積を大きく取って放熱する。猫の体温は38~39℃と人間よりも高く、それらのものがそれより熱くなることはあまりないから、だいたいこれで間に合うのだろう。
ちなみに猫の体温調節法には、体を舐め回すことで唾液を気化させ、その気化熱を利用するという説もあるようだ。もしそうだとしたら、猫も人間と同様に、湿度が高いと体温が下がりにくくなるはずだが、俺はその説には懐疑的だ。
一日でいちばん暑くなる13~15時ぐらいに、世の中の猫の多くが何をしているかというと、昼寝である。もし唾液の気化熱で体温を下げるなら、その時間帯は昼寝どころではなく、のべつ幕なしに体を舐めていなければならないはずだが、そんな猫は見かけない。これが唾液説に懐疑的な第一の理由。
第二の理由は、体温を下げるために必要と思われる唾液量に対して、水分の摂取量が少なすぎること。もともと水の乏しい砂漠出身の猫が、水分摂取に依存した方法を取ること自体考えにくいし、それだけの水が手に入る場所に住んでいるなら、わざわざ唾液に変換するというまどろっこしい手順を踏まずに、直接水を浴びれば良いのである。もたもたしていたら熱中症になってしまうのだから。
第三の理由は、唾液をつけるのが体表(皮膚)ではなく、被毛の上からでしかないこと。自分の肌を舐めればそこだけ涼しく感じるが、毛皮のコートを着て同じことをしたらどうなのか、自分の体で実験すれば分かることだ。
……長くなってしまったが、そういうわけで俺自身は、猫の体温維持に気化熱方式は使われておらず、したがって猫に湿気はほとんど関係ないと考えている。ただし、例えば乾燥しているとウイルスが浮遊しやすいとか、湿っているとカビの胞子がわんさか舞うとか、そういう影響は普通にあると思う。今回の論点はあくまで「体温上昇防止」ということなので一つよろしく。
なお、俺は専門家ではないので、誤ったことを書いているかも知れない。我が家の2匹には俺の考えで接するが、これを読んだ方々も、それぞれ勉強されて、自分の知見で愛猫に接すれば良いと思う。
では今日の猫に行ってみよう。
日勤だった今日は、出勤前に1時間ほど猫散歩を楽しんだ。八王子の栄えてない方からスタートして、最初に見かけたのは、日なたぼっこ中の黒。
ちょっとびっくりしているようだけど、割と人懐っこい子だった。
民家の隙間に挟まっていたのも黒。このあとさらに奥へ行ってしまった。
今日も朝から日差しが厳しくて、その後しばらく猫の姿はなかった。ゴール地点の片倉駅の近くまで来て、ようやく次のを発見。まだ8時前だというのに、もう日陰で寝ているようだね。
「寝ているんじゃなくて、伸びているんだよ。朝から暑いんだもの」
この辺でたまに見かけるカラーポイント。お尻が熱そうだから、もうすぐどこかへ移動するんだろうな。
仕事帰り、夕闇迫るだらだら坂でいつもの2匹を見かけた。暑い一日を終えてのんびりしている。
真夏になって猫が見つけられない時は、今年もこの2匹にお世話になるようだな。