正直言うと、今冬の早朝散歩はヘタレ気味だ。日勤の時は7時ごろから1時間ほど歩くわけだが、日の出から間もないこの時間帯は、日陰は激寒だし、日なたに出ても日差しが弱々しくて、暖かく感じるにはほど遠い。そんなわけで、日勤の今日は台湾猫散歩の6回目を載せることにする(前回はこちら)。
台湾最終日の12月24日、朝靄の深澳湾を望む九份の街なかを散歩したあと、一旦宿に戻り、美味しい朝食をいただいた。この宿は「和風」を売りにしていて、朝食のメニューも、焼き魚に味噌汁と日本の朝ご飯そのもの。わざわざ台湾で和食と思われるかも知れないが、たかが3日間でも、脂っこい異国の料理を食べ続けていると、あっさりした和食が恋しくなってくる。
朝食後は早々に仕度して、まず山沿いに歩いて金瓜石に向かった。金瓜石は19世紀末に発見された金鉱で、ゴールドラッシュともに、山間の寒村に過ぎなかった九份にも多くの人が流入した。鉱脈が尽きたため1985年に閉山になったが、その後の九份が観光地として脚光を浴びることになったのはご存知の通り。ただし、金瓜石の方は九份ほどメジャーではないらしく、黄金博物館といったものも整備されてはいるが、訪れる旅行者はそう多くない。このコースを歩くことにしたのは、たくさんの猫がいるらしいとの事前情報を得ていたのと、そのあと行く予定の八斗子に下りるバスがあって都合がいいからだ。
宿を出たのは9時前。晴れなのか曇りなのかはっきりしない空の下、山肌に沿う細い路地をとことこ歩いていると、貯水タンクの上で2匹の猫がじっとしていた。正面に見えるのは標高588mの基隆山。
さらに路地を登って行くと、高いところからこちらを眺めているのがいた。
急坂と階段で早くも息が上がりつつ、ようやく目の高さまで来たところで逃亡。相手が猫じゃそんなもんだ。
ぴかぴかに光る屋根板がレフ板代わりになって、なかなかよろしい。ステンレスか何かだろうけど、電食とか起きやすいから、建設材料としては使いにくいと思うんだがなあ。台湾には多いんだろうか。
細い路地にもう1グループ。右側は貯水タンクに乗っかっていた子だ。ここまで見送りに来てくれたということにしておこう。
また会う機会はあるだろうか。台湾の人たちは人懐っこくて親切なので、居心地はいいんだけど、言葉が絶望的に分からないからなあ。
入り組んだ路地を登り切ると、瑞雙公路と呼ばれるバス通りに出る。名前の通り、瑞芳と雙溪を結ぶ幹線道路だが、混雑の激しい九份を経由することを嫌ってか、行き交う車はとても少ない。薄日に当たって毛繕い中の猫に声をかけると、にゃあと鳴いて返事した。
台湾のキジトラには赤茶けたのが多い。黒の色調を支配するB遺伝子座の遺伝子型がblblで、黒い部分がシナモンに変化していると考えれば納得できるんだけど、それならソリッドカラー(無地単色)のシナモン猫も同じぐらいいなければ理屈に合わないんだよな。
バス通りを避けて、淋しげな路地に突入。行く手に2匹の猫発見。
子猫はびっくり顔のまま固まっている。動きがないので動画を撮ってみた。ちなみに、遺伝的に考えると、もしあの2匹が両親だとしたら、茶トラ白が父、キジ白が母で、この子はオスだと思う。
適当に入った路地が行き止まりになってしまったため、再びバス通りに出た。今度は瑞金公路という名前の道路だが、こちらは「金光路」という分かりやすい街路名がついていて、このまま進めば金瓜石に至る。少ない民家を通り過ぎるたびに庭先を覗き込んでいると、いくつか目で猫の姿を見つけた。この写真には3匹写っているけど、分かるかな。
君はカッコいい首輪をしているね。もう1匹と待遇が違うのが不思議だけど、あちらの子はうちのサチコみたいに、下顎に引っかけてじたばたしたのかも知れない。サチコが首輪をつけたのは生涯で一日だけ。
金瓜石のバス停が近づいて、時刻は10時半近く。とある民家の前を通りかかると、ご飯中の猫がいた。
この子もさっきの兄弟と同じく、大白斑の黒白。近くの家だから、もしかしたら貰われて来たのかも。
抗議の黒白と別れたあと、5分足らずで金瓜石のバス停に到着したが、すぐ来ると思っていたバスがなかなか来ない。台湾のバス停には時刻表というものがなく、表示されているのは、おおむね何分おきに来るかだけ。帰国日でもあり、あんまりのんびりしてあとが詰まるのはイヤなので、一部区間はタクシーで移動することにした。
台湾猫散歩は残り2回。続きは後日。