台湾猫散歩の2日目は九份泊。ちょっと休むつもりでベッドで横になったら、そのまま爆睡してしまって、目が覚めたら翌朝6時だったというのが前回まで。夜の基山街(いわゆる九份老街)を散策することも、夜景を見ることも叶わなかったが、10時間あまり寝たお陰で体調はすっかり回復した。今日は最終日となる昨年12月24日から、朝の九份で出会った猫たちを紹介する。
広いテラスに出てみると、体感気温は15℃程度と、3日間の滞在の中でいちばん暖かい朝だった。眺望は良く、深澳湾やその向こうの深澳漁港が朝靄に青く浮かんでいる。快晴とは行かないまでも、猫を探して歩くにはいい日になりそうだった。
この日の前半は、山沿いに金瓜石まで歩き、そこからバスで麓に下りて、八斗子という漁師町を目指す。朝食は8時に頼んであって、それまでしばらく時間があるので、早朝の基山街を歩いてみることにした。
ことりとも音のしないフロントを忍び足で通り抜け、外に出てみると、周囲は藍色がかってまだ暗い。「おはよう」の台湾華語を予習していなかったことを思い出して、片手を上げて「おいっす」とでも言えば伝わるだろうなどと考えながら、緩い坂道を下って行くと、昨日最後に猫を見かけた場所で再び猫に出会った。
おいっす。
日本式(いかりや式)の挨拶は通じないのか、無視したまま眼下の街並みを眺めるキジ渦白。中国のドラゴン・リーみたいな顔貌だな。
従業員と思しきわずかな人影のほかは、水の流れる音と鳥の鳴き声が聞こえるのみ。路地で見つけた猫のあとを追うと、行き着いた先にもう1匹いた。
クラシックタビーの方は割と人懐っこかったけど、こちらが手ぶらと分かると、興味を失ったようだった。
基山街から外れて一段下の通りを歩いていると、道端のスクーターに1匹乗っかっていた。
舌を鳴らしたり頭を撫でたりしてみたけど、意地でも目を開けない感じ。首にぶら下がっているのは基隆市が発行した鑑札らしく、裏側には予防接種済というようなことが書かれていた。ここは新北市だから、飼い主と一緒に基隆から通っているのかも知れない。
少し離れたらやっと目を開けてくれた。カメラは苦手だったか、ごめんよ。
急な斜面にへばりつくように九份の街はある。さながら奥多摩の猫集落のようだが、路地の勾配はそれよりきつい。まともに歩き回ったのでは、これから使うべき体力が失われてしまうので、基山街からあまり外れないようにして歩いていると、ほどなく次の猫を発見した。
2匹はこんな位置関係。近所の人に面倒を見てもらっているのかな。
黒白はアクティブモードで、しばらくごろごろすりすりしたあとは、鳥の鳴き声に反応してその辺を走り回っていた。
なかなかいい体格をしている。台湾で見かけた猫たちの多くは、毛並みも体格も良くて、美味しいものをたらふく食べている感じだった。
1時間あまり歩き回ったあと、朝食の時間になったので、宿への階段を上っていると、キジ白が段ボールの匂いを嗅いでいた。
食いちぎったような形跡があるね。うちのマコちゃんも段ボールが大好きで、出たり入ったりするだけでなく、放っておくと全部食いちぎって部屋をゴミだらけにしてくれる。
昨日も通った宿への道で、朝食前の最後の2匹。見晴らしのいい屋根の上で、キジ白が日差しを待っていた。
去勢済を示す耳カットは台湾でもたくさん見かけた。日本独自の目印かと思っていたけど、調べてみたら世界共通らしい。
このあと宿に戻って朝食を取り、チェックアウトののち、1時間半ほどかけて金瓜石までの山道を散歩した。台湾猫旅はまだまだ続く。