昨夜は強い雨が降っていて、窓に叩きつける雨音が明け方まで聞こえていたが、目が覚めた時は静かになっていた。昨日の予報によれば、天気は朝から速やかに回復して、日中は日差しが降り注ぐとのことだったので、6時半に起きて散歩の仕度を始めた。
風呂場の磨りガラス越しでも外の様子はだいたい分かる。晴れると言っていた割に暗いのは、きっと朝が早いからだろうと思っていたが、いつまで経っても明るくならない。こいつはおかしいと思って窓を開けたら、分厚い雲がかかって空は真っ暗だった。今日のやる気の75%ほどが速やかに消失した。
しかしせっかく風呂まで入ったのだから、出かけない手はない。それでなくとも動き続けるか止まり続けるかの二通りしかない性格なのに、二日間も休んだら、二度とその気にならなくなるかも知れない。写真撮影には苦しい天気だなと思いつつ、我が家の2匹の頭を交互に撫でて、家を出たのだった。
今日の散歩は東秋留から。条件さえ良ければ労せず見つけられる場所だが、あいにくの空模様で猫もなかなか出てこない。30分ほど歩いたところで、ようやく道端に佇むサバトラに遭遇した。俺は猫の性別判定が苦手だが、あれは見るからに女の子だな。
道路向かいの納屋に逃げかけたが、しゃがんで手を出したら近寄ってきた。いい子だねー、おいでー。
ところどころに雲の切れ目はあるものの、肝腎の太陽は顔を出す気配がない。9時半を過ぎているというのに早朝のような明るさで、テンションの上がらないままさらに行くと、緩い坂道で2匹の猫に行き会った(某巨大運送会社の猫含まず)。1匹はすぐに分かると思うが、もう1匹は難しいかも知れないので、マウスカーソルオンで正解を表示するようにした。ちなみに俺は現場ではまったく気づかず、帰ってきてから写真を見てのけぞった。
足音を消して慎重に近寄ると、さらに1匹発見。ここは半年ぶり4回目となる猫拠点だ。
こんにちは。もしかして君は去年1月に会った黒白三兄弟の1匹かな? 毛色はそっくりだけど、人相が違いすぎて分からないよ。
出てきたのはキジ渦白の方。フレンドリーな子かと思って近寄ってみたが、2mが限界。
遠目にサビかと思っていたら、ソックスをはいているから三毛だね。そんなに怖がらないでよ。
じっくり時間をかけて、2mまでだったキジ渦白に最接近してみた。のほほんとした、愛嬌のある顔立ちだ。
とにかく俺のことが気になるらしい。分かったよ、もう行くよ……。
川沿いの小さな農村地帯にやって来た。集落を貫くはかなげな路地には、明け方までの雨が水たまりになって残っている。猫でも出てこないかなと思って張り込んでいると、果たして黒いのが現れた。もう少し煌めく写真にしたかったが、今日は光線状態が悪すぎて、どの写真も仕上げるのに苦労した。
細い路地のお決まりパターンで道端の植え込みに逃げ込んだ。毛色は黒というよりまだら(スモーク)かな。
最後の猫は疎水べりで見かけた黒白。このあと予定通り流れを飛び越えて、藪の向こうへ消えていった。
ここは小さな集落で、端から端まで歩いて5分もかからない。バスの時間に合わせて何往復かしている間に、何匹もの猫を見かけたが、大部分は農家の広い敷地に紛れて見失ってしまった。全容を解明する日は来るのであろうか。