少し遠くへ行きたいとの思いに任せて、今日の散歩は坂戸まで足を延ばした。CEとして埼玉県全域を回っていたころ、坂戸や東松山には何度も行ったので、彼の地がひたすら平らで単調な土地だということは分かっている。今日は当てもなく訪れたわけではなく、東松山市にある小さな動物園に、マヌルネコを見学しに行ったのだった。このブログでは基本的にイエネコを紹介しているが、管理人の気紛れにより、野生のネコ科動物が登場することも稀にある。過去にはイエネコのルーツとされるリビアヤマネコや、多摩動物公園のユキヒョウを載せたことがある。
昨夜からの強い雨は朝になっても弱まらず、出かける時は傘を差す羽目になった。明け方まで降ることは覚悟していたが、8時を過ぎても止まないのは想定外で、川越に着くころになってようやく、車窓から見える人々の頭上から傘が消えた。上がってしまえば回復は早く、散歩スタート地点の北坂戸に着いた時には青空も見えていた。今日の目的地である埼玉県こども動物自然公園は、一つ隣の高坂が最寄り駅だが、手前で降りて猫を探すのがこういう時の常。そのもくろみ通り、駅を出てから数十秒で1匹目に遭遇した。
最初は逃げ腰だったが、時間をかけて気を引いているうちに、呼ぶと返事するぐらいになってきた。
聞きようによっては怖いことを言われてほどなく、水を飲みに出てきたキジ白に遭遇。すごい角度で飲んでいるな。
こちらはまったく歯が立たず、目が合って数秒以内に見えなくなるまで逃げて行った。
薄雲がかかってやたらコントラストの高い日差し。黒白が穴から出てきて毛繕いを始めた。
川沿いの農村部に入り、とある神社の境内を覗くと、こちらを眺める猫と目が合った。
しばらく睨み合ってみたが、お互い進むことも引くこともできず、先に俺が音を上げた。冬になると冷えちゃって膝が痛いんだよね……。
実はとても人懐っこい子。しばらくの間、撫でたりさすったりして親睦を深めた。
……じゃなくて、こちらが初めましてのマヌルネコ。横顔からも、頭頂部や鼻腔の形状がイエネコとは異なることが分かるが、いちばんの相違点は瞳孔が丸いこと。収縮してもイエネコのように細長くならないので、人間(おっさん)風な顔貌に見える。
正面からだとこんな感じ。耳が尖っていないのは、物陰に潜んで獲物を狙う時に、発見されにくくするためだそうだ。しばらく観察してみたが、仕草はイエネコにそっくり。毛繕いしたり、尻尾をふるふるさせながら歩き回ったり、忙しそうにしていた。トイレは市販されているイエネコ用のもので、普通の猫砂が敷いてあった。大型のトラやライオンなども、体格に見合ったでかいトイレを用意すれば、きっとそれを使うのだろうな。
マヌルネコ舎には2匹いた。上記の個体はタビーという名前の8歳のメスで、こちらはセバスチャン。12歳のオスだそうだ。
恐らく自然環境下で12歳まで生きられる個体は少ないだろう。我が家のサチコよりも一個下のセバスチャンは、あまり動かずに、ただ窓辺に佇んで外を眺めていた。なお、毛色はいわゆるアグチパターンで、特定の模様が見られなかったので霜降りに分類した。