1月10日、台湾猫散歩2日目の朝は花蓮で明けた。
花蓮には前々回も訪れて1泊したが、25kmも歩いた割にさして収穫がなく、朝ラッシュのスクーターの大群にやられて偏頭痛を起こし、猴硐駅のホームで2時間近く死ぬことになったのがいちばんの思い出だ(こちら)。そのような街に再び訪れたのは、台湾東部でやりたいことが二つあって、そのためには東部のどこかで1泊する必要があったからだ。前々回は初めての台湾(というか初めての海外)の1泊目ということで、日本人の経営する、日本語の通じる民宿に泊まったが、3回目ともなると、日本語が通じるかどうかなどどうでも良くなった。2014年に開業したばかりというビジネスホテルを選んだ結果、1,925元(約7,000円)という宿泊料金と引き替えに、快適な一夜を過ごすことができた。台湾旅行で「飯店」を名乗る宿に泊まるのは初めてだった。
ベッドを出て仕度しながら窓の外を見ると、厚い雲が垂れ込めていて、出発時刻の7時近くになってもかなり暗い。それでも昨日のように雨に降られるよりはマシと思い、「朝ご飯タダだから食べて行きなよ」と勧める従業員にお礼を言って、花蓮市内の猫散歩に出発した。旧花蓮駅に近いホテルから現在の花蓮駅まで、あちこち回って約9kmがこの朝のコースだ。
花蓮市は人口10万人程度の小都市だが、大通りから細い路地に至るまで活気に満ち、猫なんか引っ込んでしまって、簡単には見つけられないだろうと思っていた。そのため、まずは前々回来た時に猫を見かけたエリアに行ってみることにした。見覚えのある民宿を通り過ぎ、裏の立体駐車場に行ってみると、猫専用の寝床の傍らにクラシックタビーが佇んでいた。
呼んだら出てきてすりすりしてくれた。暗すぎて、止まってるところしか撮れないのが悲しい……。
駐車場の道路向かいにあったはずの廃屋がなくなっていて、中途半端に解体された跡地には猫が2匹。
8時を過ぎて、大通りは車とスクーターで溢れ返っている。喧噪を嫌って横丁に逃げ込むと、そこには猫がいた。
怪しい者ではないのだよ。良かったらモデルになってくれないかな。
とても人懐っこい女の子。動画も撮ってみたが、まだ若いせいか落ち着きがなく、すぐにどこかへ行ってしまった。
交通量の多い日中帯、猫たちはどういう場所で過ごしているのか、一つの回答がこちら。ぜんぜん気づいてもらえなかったけれども。
民家の敷地に猫発見。というか、この家には見覚えがある。前々回も猫がいた家だ。
しかし思い留まって、元の場所へ戻ってしまった。キジ色が薄いので分かりにくいが、毛色は三毛だね。
荒れた空き地の奥に佇む麦わら猫。麦わらのことを台湾では稻草というそうなので、麦わら猫は稻草貓かと思ったが、そういう言い方はしないようだ。よく似た言葉に「稻草貓屋」というのがあって、こちらは猫ちぐらのことだそうだ。うまく訳すものだね。
……と思ったら三毛じゃん。三毛は三花貓と呼ぶ人もいるみたいね。
警戒気味の三毛を最後に花蓮市内では猫に会わず、このあと通りすがりの食堂で豬腳麵(豚足煮込み麺)を食べ、9:43発の普悠瑪号で次の目的地である玉里へと向かった。今までの台湾猫散歩は都市部がほとんどで、行政区分はすべて市か区だったが、玉里は玉里鎮という「タウン」で、言わば初めての郡部となる。街の規模からして大した成果はないだろうと考えていたが、その予想は外れ、大賑わいとなった。玉里の猫はまた今度。