紀元前9,500年ごろ、それまで不安定な狩猟採集型の生活を送っていた人類は、中近東で始まったとされる農業革命により、農耕定住型の生活へと転換を始めた。収穫した穀物を備蓄することで食糧の安定供給が可能になった一方、そのことは鼠たちにも多大な恩恵を与えた。繁殖力の強いこの小動物は完全な駆除が難しく、時に深刻な疫病をもたらすこともあって人類を悩ませた。
農耕生活を営む人間の集落へ、リビアヤマネコが自ら鼠を追ってやって来たのか、それとも鼠害に悩む人間がリビアヤマネコを招いたのか、現在でも真相は不明だそうだが、俺たちのような猫飼いにとって、「その瞬間」を想像することはそう難しくない。ほかの肉食野生動物と同様、リビアヤマネコもカツカツの生活を送っていたはずで、そこへ人間が穀物保管庫を建て、鼠がたくさん集まってきたらどうなるか。獲物が現れるまで、雨の日も風の日も根気良く待ち続ける姿を不憫に思った付近住民が、食事の残りを与えたらどうなるか。つまり、リビアヤマネコの家畜化は9,500年前に現れた、人類初の餌やりおばさんがきっかけなのではないかと俺は思うんである。
あまりふざけていると怒られるので今日の猫を。霧雨の舞う朝の散歩は調布から京王多摩川まで。
開拓の進んでいない街なので、暗い霧雨の朝では厳しいかと思っていたが、意外にすんなり見つかった。まだだいぶ離れているのにずいぶんびっくりしているな。
サビを撮って一安心して振り向いたら、背後に麦わらがいた。この2匹は以前も会った子。
暗い朝は夜型の生活を引きずっているのかな。鈴を鳴らして巡回帰りの猫発見。
……しかし、止まっちゃって動かない。そんならこっちから出向こうか。
予想通り、民家の敷地内へ逃走。一旦停止したところを何とか1枚。
黒白の次は黒。この子も道路の向こうからやって来て、俺を見つけて民家の敷地に逸れたところ。
きっかけがあれば懐きそうな顔つきなんだけどな。猫は難しいなー。
今日はみんな似たような現れ方。今度は塀の内側だけど、あれも俺を見つけて逸れたところ。そんなに俺がイヤですか。
こちらを凝視したまま逃走を図るキジ白。目線落とすから止まってー。
しかしそれも束の間。立派なものを揺らしながら、最後にもう一度振り向いて去っていった。