5日間の台湾猫旅は天気に恵まれ、一滴の雨にも当たることはなかった。特に西部に移動した3日目~4日目はすっきりとした快晴で、気温も30℃程度まで上がり、体力的にかなり厳しい散歩となった。雨に祟られた1月の猫旅は4泊5日で114匹の猫に遭遇したが、今回はそれを大幅に上回る164匹。まだ暫定的な数字ではあるが、恐らく15~16回ぐらいに分けて紹介することになると思う。
初日の11月12日はいつもと同様に、中華航空223便で羽田から台北松山へ飛び、やや早着して10:10ごろには飛行機のドアが開いた。家を出た4時半の気温は10℃ほどで、寒いのを我慢して長袖のシャツ一枚で出かけたが、空港から出た途端、じめっとした空気が肌にまとわりついてくる。台湾中央氣象局のデータによれば、この時の台北の気温は25℃で湿度は72%。薄雲がかかって日差しこそ柔らかかったが、日本の梅雨のような蒸し暑さだった。
空港で両替して悠遊卡をチャージしたあと、台北捷運文湖線で終点の南港展覧館へ移動。散歩を開始する前にプリペイドSIMを調達すべく、駅近くの中華電信ショップに赴いたところ、俺の希望する計量型はすべて売り切れで、南港服務中心なら直営店なので在庫があるだろうとのこと。台湾に到着早々、汗でずぶ濡れになりながらさらに15分ほど歩き、たどり着いたショップで貧弱な英語と筆談を織り交ぜつつ、ようやく念願の計量型プリペイドSIMを手に入れた。先日の記事にも書いたように、空港で売られているSIMは計日型と呼ばれる使い捨てタイプで、リチャージして使い続けることができない。渡台のたびにSIMを差し替えるのが煩わしく、永続的に使える台湾の電話番号が欲しかったこともあり、今回わざわざ街のショップで計量型を買ったのだった。
南港での猫散歩は当初1時間半ほどを見込んでいたが、ショップを探したり、買ったSIMのAPN設定に手間取ったりして、結局45分ほどしか時間を取れなくなった。とはいえ今回の猫旅のテーマは台湾の東西南北完訪であり、何とか台北市内で猫を見つけなければならない。iPhoneの地図と睨めっこしつつ、猫のいそうな路地を探して歩いていると、まずは広い道路の向こう側で毛繕いしているのが見えてきた。
片側三車線道路の向こう側。ちょうど車が途切れたので渡ってみよう。
こちらに気づいて動きを止めたキジ白。庇の真下に近寄ったら向こう側へ逃げてしまった。
今回台湾で経験してみたかったことの一つに「エビ釣り」がある。台湾人にとっては古くから定番のレジャーだそうで、台湾中に数多くの釣蝦場があり、釣ったエビはその場で料理して食べることができる。グリルが借りられるので塩焼き程度なら自分でできるし、調理師に頼んで本格的に料理してもらうこともできるそうだ。南港駅の近くにも南深橋釣蝦場というのがあり、余裕があればそこで糸を垂らしてみたかったが、45分しかないのではどだい無理。とはいえ何となく諦め切れずに、その釣蝦場へ向けて歩いていると、道端で2匹の猫が所在なげにしていた。
いち早くこちらに気づいたキジ白。尻尾を半上げにしてやって来た。
関係性不明な2匹と別れ、さらに先へ進むと、次の猫はすぐに現れた。この辺り一帯は台北市南港区で、とりあえず東西南北の「北」がクリアできて一安心。
釣蝦場まで行ってしまうと予定の列車に間に合わないため、泣く泣く引き返して、南港駅から蘇澳行きの区間車(普通列車)に乗車。ややダイヤが乱れていたようで、次の散歩地である瑞芳には6分遅れの13:35に到着した。
荷物をコインロッカーに預け、駅舎から出て最初にすることは、茶渦ファミリーが出ているかの確認。屋根を見ると、まさに茶白の猫がまったりしているではないか!
口元に大きな色斑。ここの猫は似たような毛色のがたくさんいて分かりにくいけど、あれは去年1月に見かけた子だ。
ほかのメンバーは見当たらず、先に街なかを一回りすることにした。人懐っこいキジトラに会うため、達磨祖師の廟所の近くへとやって来ると、それらしいのが寝ていた。
「元気だったかー」と声をかけたら目を覚ましたが、何となく微妙な反応。前回会った時の人懐っこさは毛頭なく、忘れられてしまったかとがっかりしつつ、動画だけ撮っておいた(のちに人違いだったことが判明)。
このように車の下に潜っているのもいるが、日が翳って、気温も24.0℃と、猫探しにはまあまあいい感じ。このあとも懐かしいメンバーに会えたので、その報告はまた後日ということで一つよろしく。