中高生のころ好きで読んでいた作家の一人に宮脇俊三がいる。この人は1977年に国鉄の鉄道路線をすべて乗り潰すという偉業を達成した。今でも時々そういうことをする人はいるが、1977年以前の国鉄と現在のJRでは難易度が違う。例えば北海道に数多く見られた枝葉のような盲腸線や、福岡県の筑豊地区に存在した迷路のような炭坑路線を乗り潰すには、大変な根気と時間とお金が必要で、小学生のころから夜行列車で一人旅に出ていた俺でさえ、宮脇さんのようなことをしたいとはまったく思わなかった。
ところが最近、台湾ならそれができると思うようになった。台湾は日本以上の山岳国だけあって、山脈を縦横にぶち抜く路線は存在せず、台湾島を輪っかのように結ぶ環島路線のほかは、短い支線がいくつかあるだけだ。何なら「環島之星」と呼ばれるクルーズ列車に乗れば、13時間半で台湾を一周してくれる。宮脇さんが「台湾鉄路千公里」で台鉄を乗り潰した1980年当時、南迴線がまだ未開通で、鉄道だけで台湾島を一周することはできなかった。何より当時の台湾は1947年から続く戒厳令下にあり、鉄道施設は写真撮影すら禁じられていた。台湾鉄路の乗り潰しも日本と同様に、昔より今の方がはるかにやりやすいはずだ。
長くなるのでこの続きはまた後日。今日の猫は近所のサビから。
猫ヶ丘の急坂で時々見かける子。坂ばかり歩いているから足が太いかと思ったら、そうでもないようだ。
道端に突っ立って待っていたら、駆け寄ってきてごろーんが始まった。可愛いねえ。
最近俺はメス猫のボディラインの色っぽさが分かってきたような気がする。
散歩本番は西八王子から八王子まで。何も考えずに駅に行ったら京王八王子行きが来て、2駅先の北野に着いたら後追いの高尾山口行きが来たので乗り換えて、それが特急だったので次の停車駅がめじろ台で、めじろ台で降りたら西八王子駅行きのバスが来たので何となく飛び乗ったという次第。俺の人生は気分と偶然に支配されている。
猫の方は初っ端から分かりにくくて済みませんね。
はるか前方の線路端に猫が1匹佇んでいる。ちょうど列車の音が近づいてきたので、一緒に撮ろうと待ち構えていたら……、
かすかな振動を感じたのか、道路向かいの畑に逃げてしまった。よくよく見ると可愛らしい女の子。
柳の小路の歓楽街にたどり着いたのは13:45。お昼寝タイムに入ってしまって、大方の猫はどこかへ引っ込んでいたが、辛うじて駐車場の隅に黒いのが見え隠れしていた。
オレンジラインの上にいられると、色の調整が面倒だからどいてくれとお願いしてみたが、テコでも動かない。
ちょうど飼い主さんが現れて、ミルクという名前だと教えてくれた。一緒に家の中へ入っていったので、普段は室内で過ごしているのだろう。
最後の猫は定点の駐車場にて。雨避けの傘は定期的に交換されているらしく、9月に来た時より新しくなっていた。1月に来た時は透明なビニール傘だったので、それよりだいぶ高品質になった。