とっくの昔に吹き終えたと思っていた春一番が今日吹いた。ずいぶん遅いような気がしたが、去年は3月1日だったし、1995年の3月17日なんてのもあるくらいだから、遅いわけでも早いわけでもないようだ。風が強いこと自体は音を聞いて分かっていたので、今日は散歩をお休みして、物置と化している2階洋室を書斎と呼べる部屋にすべく片付けをした。本をびっちり並べても荷重に耐えられる上等の本棚が欲しいところだが、そういうものは目玉が飛び出るほど高い。業務用のスチール本棚なら重くても歪んだりはしないが、俺の実家にはそれが何架も並んでいて、子供心に圧迫感が半端なかったので、あまりいい印象がない。そんなわけで部屋は片付けたが、本はまだ段ボール箱に入ったまま、部屋の隅に高く積まれている。
猫の方は昨日の奥多摩散歩で見かけた子たち。去年10月に訪れてからというもの、引っ越し作業などで忙しく、ようやく一段落したと思ったら5ヶ月も経っていた。最近は奥多摩まで電車に乗り通すことはなく、途中の青梅からカーシェアリングを利用することがほとんどだ。奥多摩に行って帰るだけなら電車でもいいが、青梅線(青梅〜奥多摩)は日中45分毎の運転なので、どこかで途中下車するとなると、途端に機動性が悪くなる。今回も山腹トリオのキジ白に会いに寄り道するつもりで、事前に青梅駅近くのTimesでカーシェアリングを予約していたのだった(あいにくキジ白には会えなかったが)。
奥多摩町役場に着いたのは8時すぎ。以前は駅前にも何匹かの顔馴染みがいたが(一例)、ねぐらの空き家がリフォームされてからは姿を消してしまい、誰にも会えないまま日原川を渡る。まだ日の当たらない崖下の路地から上を見上げると、階段に茶色いのがちょこんとしていた。
階段の上の家で猫を飼っていることは知っているけど、この子だったかなあ。
この顔は「いいよ」と言っているのではなく、フレーメン反応。地面に何かの匂いがついているみたい。
さっきの茶トラ白が戻ってきてごろんごろん。ここは不思議な集会所だねえ。
転がる茶トラ白の背後には、次の猫がスタンバっているのだった。
あんまり人懐っこくはないみたい。ちなみに青い物置の上には2〜3頭の猿がいたが、カメラを構える間もなく全員逃亡した。
渓谷にかかる吊り橋を渡り、対岸の坂を登っていると、背後から猫の鳴く声がした。
誰かと思ったら、一昨年の秋、坂の上の神社で見かけた子じゃないの。
カリカリを手に家から出てきたおばさんが嘆く——この地は過疎化が進み、猫だけ残して人がいなくなる——あの黒白も元は近くの家で飼われていた子なのだった。
写真点数が上限の29点に達したので、今日はこれでおしまい。この家で撮った写真がまだ少しあるのと、このあと猫集落にも行ったので、残りは折を見て後日載せる。