サチコの出生地である東村山市秋津町には、多くの猫を輩出する猫民家があり、当時住んでいた家から80mという距離や、輩出猫たちの毛色の傾向からして、サチコもそこの出身だろうと考えている。その猫民家で観察できるのは黒、黒白、キジ白で、野生型であるキジトラの遺伝子型(オスの場合ww oY AA BB CC ii DD ss)とは、少なくともアグチ遺伝子Aと白斑遺伝子Sの優劣に差異がある。
アグチ遺伝子が優性のA-だとキジ系になり、劣性のaaではフェオメラニンが生成されず真っ黒くろすけになる。親戚に黒猫がいるとなると、サチコのA遺伝子座の遺伝子型はAAとAaどちらの可能性もあり、A-と表すことしかできない。
一方、白斑遺伝子は優性のS-で白斑が生じ、劣性のssだと白斑が生じないが、この遺伝子は不完全優性なので、優性ホモ接合SSだと大白斑、ヘテロ接合Ssだと小白斑になる。サチコは小白斑なので、S遺伝子座の遺伝子型はSsで確定。
そのほか、サチコは白猫でも茶猫でもないので、最上位の白色遺伝子Wや次位の茶色遺伝子Oはいずれも劣性。シルバーでもないのでフェオメラニン抑制遺伝子Iも劣性。つまりサチコの毛色の遺伝子型は、現時点ではww oY A- B- C- ii D- Ssであるということが確定的に言える。
上記に加え、先日UC Davis VGLに依頼した遺伝子検査では、A、B、C、D遺伝子座の対立遺伝子が分かるので、サチコの毛色の遺伝子型の全貌が判明することになる。今回の検査の目的はまさにそれで、家族とはぐれて一人ぼっちだったサチコのルーツに光が差したようで、飼い主としてはとても嬉しい。なお、今回なぜサチコだけを対象にしたのかというと、マコちゃんは母猫と4匹の兄妹の存在が分かっているから。最上位から2番目の茶色遺伝子Oが働いているお陰で、それより下位の遺伝子型が見た目からはまったく分からないという不利はあるが、検査費用が100ドルかかることもあり、マコちゃんは冬のボーナスが出た時にでも依頼する予定だ。
それでは今日の外猫たちを。
家を出て間もなく、定位置の黒煙ちゃんに遭遇。ころころ転がって挨拶してくれたが、暗すぎて撮影は断念。
黒煙ちゃんの視線の先には、いつものように武蔵の姿があるのだった。見つめ合うだけの猫の関係性が俺には分からない……。
今朝の散歩は調布~京王多摩川の5.1km。6月中旬に同じコースを歩いた時、生後2ヶ月ほどと思しき子猫を見かけたんだが、目が合っただけで隠れてしまって、まったく歯が立たなかった。あれからひと夏が過ぎ、子猫たちも成長して人に慣れたころだろうと思い、様子を見に行くことにしたのだった。
大白斑の黒白は好奇心が旺盛なのか、今回は逃げずに近寄ってきた。
小白斑の黒白はヘタレて引っ込んじゃった。カメラは初めてかな。
路地の奥には大人の猫が2匹。右側の黒白が母(推定)で、左のキジトラは関係性不明。冒頭に示したように、母が小白斑Ssで子供が大白斑SSだとすれば、父はS-でなければならないので、キジトラ(ss)は該当しないことになる。
母のさらに向こうには2匹の怠惰な猫がいた。彼らはリードで繋がれているので、外猫たちとはたぶん無関係。
子猫たちの遊び場から少し離れたアパートには黒がいた。こちらはたぶん去年の子猫だと思うが、真っ黒なだけに断定はできない。
日の出から1時間20分が経過したというのに、住宅街の細い路地にはまだ日が差さない。夏の猫はこのような場所で涼を取っている。
こいつはここらで時々見かける鉢割れのキジ白。大変立派なものを持っているので印象に残っている。
にこやかに近寄ってみたがこの有様。逃げ切らずにいてくれて助かった。
この子に会う直前にも、全力で道路を駆け抜ける子猫を見かけたが、どこへ走り去ったか見当もつかなくて、追跡は断念した。