峠の向こうのカミツキネコ


川崎市の猫

 「寝室にラジオが欲しい」との妻のリクエストに応えて、ICF-6800Aと303WA-2を導入してしまう俺は、やはり基本的に引きこもりのオタクなのだろうな。
 ニュースによると、AM放送の送信設備の維持がコスト的に困難だとして、民間ラジオ局がFM放送への移行を検討しているとのこと。音質の良いFM放送に移行するのは大歓迎という人が多いかも知れないが、FM放送に使用されている超短波は、AM放送の中波に比べると障害物に弱く、電波の届く距離が短いという性質がある。例えばTOKYO FMは東京タワーに10kWの送信所を持つほか、八王子市、檜原村、青梅市と島嶼部に中継所がある。東京23区だけなら東京タワーで足りても、東京都全体とか関東圏とかいうレベルになると、いくつもの中継所が必要になる。災害時に放送エリアを維持するには、当然それらの拠点がすべて正常に稼動していなければならない。
 一方、AM放送で使用する中波は、FM放送ほど高音質ではなくノイズも拾いやすいが、電波が遠くまで届くことと、受信設備(つまりラジオ)が簡単に作れるという利点がある。例えばニッポン放送は木更津の送信所から100kWの出力で電波を送信していて、中継所がなくても夜なら北海道まで楽勝で届く。共産圏には1,000~1,500kWという高出力の放送局があり、AMラジオからロシア語や朝鮮語が聞こえてきた経験を持つ人は日本中にいるはずだ。AM放送はごく単純な回路で受信することが可能で、子供の知育教材として最適なだけでなく、いくつかの部品があれば電源がなくても動作する。いわゆる鉱石ラジオとか塹壕ラジオというもので、無人島に不時着した飛行士や戦場の兵士が、身の回りのものを使って製作した事例が知られている。災害時にこれほど有用なものはないと思うのだが、それでも民間ラジオ局がAM放送から撤退することを考えるのは、送信設備が極めて大規模だからだ。波長が長い分、送信用のアンテナには50~250mの高さが必要で、それに見合った広大な敷地が必要になる。送信出力に応じて必要な電力も大きくなり、例えば国内最大規模の送信施設であるNHK菖蒲久喜ラジオ放送所の敷地面積は95,000坪、年間の電気代は1億3千万円だというから驚きだ。
 今日の猫散歩は南武線の津田山から久地まで。このコースは急峻な峠越えを含む困難なミッションだが、今年1月に見かけた尋常性白斑猫とカミツキネコに会いたくて、当てもないのに三度目のチャレンジをしたのだった。
 息も絶え絶えになってサミットを越え、下り勾配に転じたところで猫発見。
川崎市の猫

 立派なエラとキンタマはパワーの象徴。惚れぼれするねえ。
川崎市の猫

 この峠が急峻なことを伝えたくて、引いた写真を撮ってみたものの、今いち分かりにくい。なので元来た道を振り返ってみると……、
川崎市の猫

 ほら、こんな坂。黒猫もびっくりだよ。
川崎市の猫

「俺はお前にびっくりだよ」
川崎市の猫

 アジア的な長屋風景と内職のおばさんと猫。
川崎市の猫

 もしかして、君たちはあの時の子だね!
川崎市の猫

川崎市の猫

 真っ白なので100%の自信はないが、この子は1月に二度見かけたカミツキネコだと思う。あの時はとてもお腹を空かせていて、見かねた近所の子供が(善意で)みかんを与えたりするくらいだったので、その後の消息が気になっていた。夏痩せして目が大きく見えるせいか、猫侍の玉之丞(故・あなごさん)に似た雰囲気を醸し出しているね。
川崎市の猫

 兄弟と思しき黒白は奥の方で見てるだけ。尋常性白斑猫は不在のようだったので、そのうちまた様子を見にくる。
川崎市の猫

 会いたい猫たちに会えたのでとても嬉しくなり、その後の気分はルンルン。猫サーチパワーも冴え渡る。
川崎市の猫

 あれに見えるは大白斑の三毛。目つきが逃げる気満々だな。
川崎市の猫

川崎市の猫

 慎重に慎重に近寄ってこれが限界。車の下に隠れてしまった。
川崎市の猫

 とあるマンションの駐車場で猫が丸くなっていた。
川崎市の猫

「あれは噂の手ぶら野郎」
川崎市の猫

「寝たふり寝たふり」
川崎市の猫

川崎市の猫

 その傍らには尻尾の黒いのがいた。今日はよく大白斑に会う日だな。
川崎市の猫

川崎市の猫

川崎市の猫

 背後には細い目のキジトラ。実は二つ上の写真にも写っているんだけれども。
川崎市の猫

 時刻は13:45で気温は23℃ほど。もう秋になったので、放熱ではなく蓄熱しているのかな。
川崎市の猫

川崎市の猫

 逃げかかったキジ白はとてもカッコいい顔立ち。もう少し近くでと思ったが、やはり車の下に隠れてしまった。残念。
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