今日の散歩は久しぶりに高尾へ足を延ばしてみたが、当てにしていた猫拠点の多くが空振り。厳しい結果になるであろうことは予想していたが、それでも愚直に歩き続けなければ、その土地の猫に巡り合うことは叶わない。
沿道の梅や桜に気を取られながら歩くこと1時間、建ち並ぶ団地アパートの片隅を行く1匹の猫を発見。お願いだから逃げないで。
アパートの敷地に佇んで様子を窺うキジ白。いてくれてホント助かったよー。
敷地が荒れているのは、これらのアパートがすべて空き家だから。近隣には新しい棟がいくつもできていて、こちらは取り壊しを待つばかりだ。
なお、猫はもう1匹いた。
空っぽのアパートが建ち並ぶ様を見ると、夕張の炭住を思い出してしまうが、ここは東京だから彼の地のように絶望的な転帰ではない。面倒を見てくれる人もちゃんといる。
ちなみに夕張市が長年に渡る会計上の粉飾行為によって財政破綻したことは今さら説明するまでもないが、そもそも巨額の借金を負うきっかけになったのは、国のエネルギー転換によって炭鉱の閉山が相次ぎ、税収の大部分を占めていた企業や住民のほぼすべてを失ったことだ。しかも炭鉱会社が残した夥しい数の炭住(社宅)や福利厚生施設など、インフラの買い取りを余儀なくされ、その金額は583億円にも上った。今考えれば、これらの多くは夕張市にとってお荷物でしかないわけだから、むしろ炭鉱会社に処理費用を請求するべきで、それを元手にして、税収に見合ったコンパクトシティ化と観光都市への移行を図れば良かった。台湾の九份や十分の盛況を見るにつけ、つくづく残念に思う。
……というようなことを考えながら、廃墟となった団地から空を仰ぎ見た。昨日のような花粉光環はほとんどできていなかった。