天気が悪かったわけではないが、今日は完全に休養したかったので、一歩も外出せずに家の中で過ごした。今日の俺は猫より5倍ぐらい怠惰だった。暇を持て余しているように見える猫も、毛繕いと縄張り巡視くらいは欠かさないものだが、俺はそれに相当することすら怠った。
このように余裕かまして一日を過ごせるのも、先月末、各地で会ったたくさんの猫たちのお陰だ。今日紹介する三浦の猫を除いても、奥多摩が2回分と猫温泉2回分の猫がまだ載せられずに残っている。早く紹介したいのは山々だが、日本列島はいよいよ冬型の気圧配置に移りつつあり、関東は晴れの日が増えてくるので、今のところ仕掛かりを差し込む目処が立たない。撮影日から1ヶ月は超えないようにしたいと思っているので、気長にお待ちいただければ。
さて、連載3回目となる三浦の猫は今日が最終回(2回目はこちら)。空は霞んでいたものの、借景の富士山が隠れるほどではなく、築港にたどり着いた9時半ごろになっても、冠雪した山頂がはっきり見えていた。防波堤のたもとでは黒い塊がちんまりしていた。
ここへ来た時、いつも無事が気になる曲がり尻尾の黒。こちらに気づくなり、つかつかと近寄ってきた。
俺が知る中では、こいつがここらでいちばんの古参。元気にしていたようで良かった。
いつの間にか人懐っこい2匹もついてきて、漁網の上に収まっている。
漁網の上で遊ばせておくと怒られそうなので、防波堤に誘ってみた。真ん中のキジ白もとりわけ人懐っこい子で、昼夜の区別なく近寄ってきては撫でられるのを待っている(一例)。
富士山をバックに仲のいい2匹を記念撮影。だいぶ霞んで薄くなってきた。
こいつに初めて会ったのは2014年4月のことだった。外で暮らす猫にとっての6年というと、我々にはちょっと想像のつかない長い時間だと思うが、当時と変わらず無邪気でいてくれるのが嬉しい。きっと釣り人に可愛がられているのだろう。
猫たちの巣くう漁網の山へ戻る道すがらも、あとから出てきた猫ににゃあと呼び止められる。
漁網のところに戻ると、朝は見かけなかった黒白が出てきていた。
入れ替わりの激しい場所なので、なかなか個体の判別がつかないが、こいつは3年前に初めて会った子。今はこんなだが、最初は確か逃げられたはず。
それじゃ今日はお暇しますよ。お土産にマグロを買って帰らなければならないのでね。
ハマダイコンの花が咲いたらまた来るよ。それまで元気でいてね。
漁港へ向かう時は集落を通らずに海岸をショートカットしたが、帰りは猫を探しながらゆっくりと歩く。一軒一軒、丹念に見回っていると、見覚えのある民家の屋根からこちらを見下ろしているのがいた。
プランターの陰から出てきたのは、去年も会った三毛ちゃん。あの時は右目が痛々しかったけど、ずいぶん良くなったねえ。
ちなみに最初の全景写真には、2階の窓辺にも1匹写っている。たぶんこいつではないかと思うが、不鮮明すぎて判別不能。
残ったカリカリはこいつに食べさせようと思い、舌を鳴らして呼んでみたものの、驚いた表情でこちらを見つめるばかり。一歩前に出たら見えなくなるまで逃げてしまった。このあと俺はいつものように、駅前の売店で中トロの柵とイカの塩辛を買って帰った。中トロはスーパーで買ったほかの刺身とはちょっと次元の違う味だった。