年内最後の休暇は寿司食ってビールを飲んで、ほろ酔い加減で終わろうとしている。サチコとマコちゃんを風呂に入れる以外に年越しらしいことはなく、明日からは3回連続の夜勤が始まり、俺はその行き帰りに猫を探して歩き回るだろう。
猫散歩は当初、京王線猫行脚の柴崎〜国領をやっつけるつもりだったが、朝のうち雲が多く、知らない街で猫を見つけられる気がしなかったので、平山と長沼の周辺を2時間半ほどかけて歩いてきた。こちらはすっきり晴れればそれなりに期待できるコースだが、やはりそれほど猫影はなく、撮った写真も一度に載せられる程度の分量に留まった。
家を出たのは8時すぎと遅く、黒煙ちゃんや武蔵に会えることを期待していたが、あいにくどちらも不在。駅近くの駐輪場にバイクを止めていると、フェンスの向こうで猫が朝日に当たっていた。
険しい顔でこちらを睨むサバ白。今写真を撮りに行くからそこで待ってて。
……しかし、即座に車の下へ退避。いつも俺に写真を撮られているので、先読みして逃げるようになった。
まさか近寄ってくるとは思っていなかったらしく、目をまん丸にして鳴いていた。この子は商店街などで時々見かけるが、カメラに収まるのは初めてだと思う。
平山に着いたころにはだいぶ晴れていて、普段あまり見かけない場所にも猫が出て日なたぼっこしていた。ここは暴れん坊将軍の「伝説の彗星回」で隕石が衝突した場所に近く、この周辺で猫を見かけるのは約1年半ぶりとなる。
こちらには気づいているようだが、お日さまが気持ち良すぎて目が開かない。
帰宅してから調べたら、1年半前に会ったのはこの子(ともう1匹)だった。元気そうで何より。
寒い季節になって、農家の長毛キジトラがどのくらいゴージャスになったか見たかったが、今日は会うこと叶わず。次に見かけたのは広い駐車場の隅で丸くなる白だった。
バレることは想定内。どれだけ気をつけて近寄っても逃げられる気しかしない。
予想通り逃走を図るも、見える範囲で止まってくれたので、少し離れた場所からもう1枚撮れた。
駐車場に隣接する民家の裏庭には茶トラの姿があった。さっきの白もここの子かな。
俺が個人的に「長沼北壁」と呼んでいる山岳住宅地へのアプローチを登っていると、道路脇の側溝に黒猫がいて、驚いたようにこちらを見上げていた。
車の陰からこちらを窺う黒。宥めてもすかしても、もう動かない。
ちょん突きの三毛ちゃんに会いたくて、猫ヶ丘の高台に寄ってみた。竹垣の向こうからこちらを見ているのが分かるかな。
今日も安定のちょん突き。相撲の立ち合いで、土俵に片手をつけて呼吸を合わせる仕草をそう呼ぶが、推奨される行為ではないそうだ。
逃げる場面じゃないと分かると、こうして両手をついた姿勢になる。顔も覚えられたみたいだし、少しは親睦が深まったかな。
例の工事の進捗状況は下記の通り。今月6日と比べると外装パネルが貼られ、雨戸シャッターも取り付けられて、建物の全貌がだいぶはっきりしてきた。恐らく1DK程度の単身者向けアパートだろうが、駐車スペースがないことから、学生が借りることを想定しているものと思われる。ここからバス1本で通える範囲には東京薬科大学や中央大学、帝京大学などがあるが、平山城址公園というのは駅前に商店が一つもない辺鄙なところで、期待に胸を膨らませて上京してきた子たちの失望を思うと胸が痛む。ここは彼らの思い描く東京とはだいぶかけ離れた東京だからなあ。
散歩を終えて帰ってきたのは正午すぎ。サバ白の駐車場にはやはりサバ白がいて、朝と同じように日に当たっていた。
帰宅してからよくよく見ると、朝会ったのと同じ子だった。この駐車場にはサバ白がもう1匹いて、朝会ったのはそちらだと思い込んでいたのだった。よく似た子とはいえ、俺もまだまだ修行が足らんな。