夜勤の終わり近くになって雨雲レーダーと睨めっこしていた時は、雨の合間をうまく縫えそうな気がしていたのに、定時間際になって急ぎの仕事がどっさり入ってきたため帰れなくなり、いつもより45分ほど遅れて社外に出た時には、すでに次の雨雲に追いつかれていた。雨だけなら傘を差して散歩するつもりだったが、帰宅が遅くなるのは嫌なのでコースを変更の上大幅短縮し、ダメ元で多摩センターから1駅(1.9km)だけ歩いてみた。
雨は次第に強く、気温は低くなる一方で、当てにしていたゴンを始め、URの猫アパートに住む猫たちもどこかに隠れて出てこない。「やっぱりダメかー」と落胆して駅にたどり着くと、茂みの奥から呼ぶ声が聞こえた。
ずいぶん久しぶりに見かける駅前の黒。元気にしていたようだねえ。
通りすがりの女子中学生が「この子はいい子ですよ。呼ぶと来るんです」と教えてくれた。この辺りの事情通かと思い、「以前は2匹いましたよね」と聞いてみたが、彼女は片方の消息を知らない様子だった。親子だという2匹の黒を初めて見かけたのは2015年2月のことだから、10代前半の彼女が知らないのも無理もない。何となく世代間断絶を感じながら帰途についた。