急行型気動車の終焉と房総猫を眺める旅(1)


いすみ市の猫

 一昨日の三浦に続き、昨日も早朝から房総方面へ出かけて19時すぎに帰ってきた。土日は行楽地に行かないという掟を敢えて破ったのは、土日じゃないと見られないものを見るためで、それは何かというと国鉄時代に誕生した急行型気動車キハ28という車両。搭載エンジン数や等級(普通車、グリーン車)の違い、北海道向けや信越本線向けなど、いくつかのバリエーションを合わせて2,000両以上製造され、1960年代から急行列車を中心に全国津々浦々で活躍した。急行型という本来の目的で使われたのは広島〜三次を結ぶ急行「みよし」が最後で、同列車は利用者数の低迷や車両の老朽化により2007年に廃止。その後も高山本線の富山〜越中八尾を結ぶ普通列車として細々と走っていたものの、2011年3月に運用から外れ、JRからは完全に引退していた。いすみ鉄道が運転しているのは高山本線で使われていた最後の一両で、2012年10月にJR西日本から譲渡され、以来こんにちまで週末を中心に行楽客を運び続けていた。
 このように高度成長期から長きに渡って活躍してきた車両だったが、寄る年波には勝てず、ついに今月27日をもって定期運用から離脱することになった。北海道育ちの俺にとって、非電化区間の花形であった特急・急行型気動車は少年時代からの憧れであり、最後の活躍を一目見ておきたかったというのが掟を破った理由。一般行楽客だけならまだしも鉄オタが集結することは明白であり、平和裡に別れを惜しむことができるのか不安ではあったが、沿線の猫を探すという別の目的があれば耐えられるだろうと思い行くことにした。
 なお、原則として当日以外の猫は時系列順に掲載しているので、本来なら一昨日の三浦猫が終わってから千葉猫という順にするべきところだが、それだと千葉猫の出番がしばらく先になってしまう。せっかくの旅の記憶が曖昧になっては記事を書くのも一苦労なので、2回連載の1回目だけは先に紹介しておく。
 府中本町から武蔵野線で海浜幕張へ、そして蘇我、上総一ノ宮と乗り換えて、スタート地点の大原に到着したのは出発から3時間後の8:19。ホームに降り立った瞬間、風がぬるいことに気づき、上着を持て余す予感にうち震えながら歩くこと20分。とある水産加工場の裏手に猫が張り付いていた。
いすみ市の猫

いすみ市の猫

 この場所は渡さないという強い意思を感じる。まあ俺もお魚は大好きだけどさ。
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 この日、大原で見かけた猫の多くは水産加工場に張り付いていた。しかし車が多いせいかどれも警戒心が強く、半分近くはなす術なく逃げられた。
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 黒が張り付く加工場の周囲には、何気ない風を装いつつこちらを窺う数匹の猫が。
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 君たちは刑事デカか。
いすみ市の猫

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 最初の写真に2匹写っていることに気づいた人は多くないだろう。これも熟練された張り込みの技(1匹増えているけど)。
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 魚に対する猫の執着心は半端ではない。うちのサチコも漁港になんか連れて行ったら狂喜して心臓止まっちゃうかも。
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 空き地の奥で毛繕い中の猫発見。
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 この日逃げられた多くの猫の中でも割と近寄れた方。
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 キジ白に逃げられ、漁港近くの路地をとぼとぼと歩いていると、前方に保護色的に佇む猫が見えてきた。
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 最近あまり見ない木製のパレット。今は樹脂製が大部分だと思うが、背後のトロ箱を含め、水産業では木製が好んで使われるようだ。
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「樹脂だと水浸しになっちゃって滑るし不衛生で具合が悪いんだ。木には抗菌作用もあるから一石二鳥ってわけさ」
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「……それはそうとお前は見かけない顔だな!」
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 こちらも水産加工場。2匹の猫が甘い声で鳴いていた。
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 小柄な黒は見知らぬニンゲンに興味津々。いい子だねー。
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 この辺りを行き来するのは八割方漁業関係者。俺なんかより美味しいものをたくさん持っているじゃない。
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 敷地の奥から呼ぶ声がして、2匹ともすっ飛んで行ってしまった。猫の現金さにげんなりしつつ、大原の猫はまだしばらく続く
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