いつでも行けるからという理由で延び延びになっていた東京都自治体制覇を達成すべく、今朝は4時に起きて板橋方面を散歩して10時すぎに帰ってきた。2月下旬に品川区と目黒区を片付けたことで、残る自治体は1区2町4村となっており、そのうち2町4村は島嶼なので、とりあえず残った板橋区で猫を見つければ本土側の全自治体制覇となる。季節も良し、天気も良し、猫行脚のような3匹縛りもないので、行きさえすれば達成できるだろうと思っていたが、実際その通りでむしろ予想よりたくさん会えて充実した散歩になった。
分倍河原4:57発の特急に乗り、新宿と池袋を経由してスタート地点の下板橋に到着したのは約1時間後。10代のころ俺は下板橋駅前の寿司屋でバイトしていたことがあり、多少は土地勘があるつもりだったが、さすがに昔すぎて記憶だけでは歩けない。店は北口の道路向かいにあったはずだが、現在は駐輪場になっていて当時を思い起こすようなものはなく、あわよくばそこに猫がいないかと周囲を見回してみたがそのようなこともなかった。
1匹目は駅から少し離れた住宅街の路地で発見。ちなみにここは豊島区なので制覇はまだ。
逃げるでもなく道端に座って様子見モード。この子は二毛のようだけどちょっと変わった毛色だね。
がさごそ音がして後ろの茂みからもう1匹出てきた。猫ってどこに潜んでいるか分からんなー。
あとから出てきた方もちょっと変わった毛色。これってもしかしてチョコレートマッカレルタビー(chocolate mackerel tabby)ではないだろうか。もしそうだとしたらこのブログの猫の毛色と遺伝にも載せていない極めて珍しい毛色だ。
チョコレートマッカレルタビーはキジトラ(ブラウンマッカレルタビー)の遺伝子型のうち、黒の色調を変化させるB遺伝子座の遺伝子型がbbまたはbblに変異したもので、本来なら黒の濃淡で構成されるアグチパターンがチョコレート色の濃淡に変わる。これは立川の美人さんなど、今まで何度も遭遇してきた赤茶けたキジ色の猫と似ているようだが、こうした猫は胴体こそ赤くても尻尾の先端は黒いままなので、遺伝ではなく食餌のチロシン含有量が原因ではないかと疑っている。一方この2匹は体の部位を問わず、二毛のレッド部分以外はすべてチョコレート色の濃淡で構成されている。
台湾のキジトラやキジ白にも赤茶けたのが多く、見かけるたびにチョコレートタビーではないかと疑ったが、もしそれが遺伝によるものならソリッドカラーのチョコレートも同じくらいいるはずなのに、一度も見たためしがなかった。なのでこの近くにソリッドチョコレートがいれば、この子たちの遺伝子型がbbやbblであることの裏付けになると思い、周囲を見回してみたが見える範囲にはいなかった。
なお、麦チョコとでも呼ぶべきこの子は「二毛」、あとから出てきたチョコレートマッカレルタビーは「その他」に分類しておく。
初っ端から珍しい毛色に遭遇して興奮を隠せず、猫たちは警戒して敷地の奥へ逃げてしまった。板橋区最初の猫は高みからこちらを見下ろす黒白。
旧法準拠の細い路地を選んで歩いていると、ちょこなんとする黒い物体を発見。やっぱり下町は猫いるなあ。
そういうことならもう1枚。ここで待っているといいことがあるのかしら。
民家と広場の隙間に猫が佇んでいた。なおこの時点で俺は2匹いることに気づいていない。
この子は正統派(?)の麦わらさん。茶トラとキジトラが混じってるやつ。
そこへにゃーんと鳴いてさらなる猫が登場。青い目の白と連れ立って現れたのは……、
おばちゃんに教えられて、ようやくもう1匹の存在に気づいた俺。
やっぱり朝の散歩はいいな。猫には会えるし、猫に関わる人とも猫談義に花が咲く。
猫の広場に長居したため時刻は7時半近く、ここへ来てようやく街が雑踏し始めた。民家の犇めく路地に入れば焼き魚の匂いが漂っていたりして、都心から近い場所に住むと朝食に魚を焼く余裕があるのかと気づかされる。魚を焼くなら味噌汁は必須だろうし、大根も擦らなきゃならない。多摩に住みながらそうした献立を用意するとなると、場所によっては4時ぐらいに起きないと間に合わない。時間に余裕があるということは、きっと街の猫たちへの待遇も手厚いのだろうな。
今日の散歩は下板橋から上板橋までの7.7km。2時間15分かけてたどり着こうという矢先、門柱に並ぶ黒白を見つけてカメラを向けた。
ちょうどご飯の時間だったようで、三毛とともにおばちゃん登場。黒白はパンちゃん、三毛はメイちゃんという名だそう。
こうして今日の散歩は終了し、島嶼を除く東京都全自治体(23区および多摩地区の30市町村)の猫に会うという大きな区切りに到達した。島嶼まで全部やるとなると大島町、八丈町、三宅村、御蔵島村、青ヶ島村、小笠原村が残っており、大島ぐらいならいつでも行けると思うが、ラスボスの小笠原は厄介すぎて倒せる気がしない。猫とは関係なく青ヶ島の二重カルデラは見てみたいし、そうなると八丈島を経由することになるので、今後も多少は進展があるかも知れないけれど。