落日の奥多摩猫集落


奥多摩町の猫

 たった4日間の短い夏休みは今日で終わり、最後にはるひ野でも歩いてみようと思っていたが、案の定ヘタレてしまって行けなかった。日の出の遅くなった今は7時すぎにならないとまともに日が差さないし、写真が赤っぽくなることを避けるとなるとさらに1時間遅くなる。はるひ野なら夜勤明けの時に超速で退勤すれば9時半にはスタートできるわけだから、わざわざ休みの日に出かけるまでもない。……などと目覚ましのアラームを止めてから2秒ほどの間に考えを巡らせ、再び布団に潜ったのだった。
 午後からはサチコのウンコオブジェの製作を進めた。調合したレジン液をシリコンモールドの型に流し込むまでは終わったが、乾燥ウンコというのはとても軽いもので、相当程度レジンが固まってこないと表面に浮いてくる。今回使用したレジン液は紫外線で固めるタイプではなく、硬化に時間のかかる二液性エポキシ樹脂なので、13時すぎに入れたウンコが7時間経ってもまだ浮いてくる。気温の低い冬場は特に硬化に時間がかかるそうで、今夜は遅くまで寝られないかも知れない。
 散歩はお休みしても写真はまだたくさん残っているので、それらの出番が来たと思えば却って良かった。今日の記事では今月2日、奥多摩で出会った猫たちの続きを紹介することにして、まずは高低差の激しい山肌の住宅地で見かけたキジ白から(前回の記事はこちら)。
 まあこの写真で見つけるのはちょっとムズカシイと思うけど。
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 ほらいた。
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 大白斑のキジ白はとても警戒心が強く、このあとも何度か見かけたが、いちばん近寄れたのがこの写真だった。
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 雨どいに溜まった水を飲むキジ白。さっきの大白斑もこのキジ白も同じ家の子。
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 やはり警戒心は強いけど、さっきのほど絶望的ではいみたい。
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 大人の猫より子猫の方が物怖じしなかったりして。
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奥多摩町の猫

 猫民家の奥さんに招き入れられ、おずおずと接近してみる。キジトラはとっとと逃げたけど、この子は度胸があるね。
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「僕だって怖くなんかないんだ」
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 遠巻きに不審なニンゲンを注視する子猫が1匹増えて2匹。兄妹かしら。
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 そっくりすぎて分かりにくいけど、黒と一緒にいたのは左の子かな。いい子だね、おいでー。
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奥多摩町の猫

 エノコログサを振り回して片割れの撮影に成功。生後4〜5ヶ月ぐらいかな。
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 氷川の集落を軽く一回りしたあと、9時すぎになって再びハンドルを握り、10ヶ月ぶりとなる猫集落へ移動。前回訪れたのは12月30日という年の瀬で、いつもお邪魔している下の段の猫民家では、突然の訪問にも関わらず大掃除の手を休めて茶菓子でもてなしてくれたものだった。それでなくともこの家の人は10年も前から「勝手に入って自由に撮って良い」と言ってくれているし、会うたびに柚子や柿といった手土産まで持たせてくれるので、いずれ何かお礼をしなければと心苦しく思っていた。今回はお土産にこの家の猫たちの写真で作ったA2判の月めくりカレンダーを持参しており、それを渡すのがいちばんの目的でもあり楽しみでもある。
 猫集落に到着したのは9時半ちょうど。山間の澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、まずは上の段の猫民家を覗いてみると、定位置のベランダで1匹の黒白が寛いでいた。
奥多摩町の猫

 この山並みを背景に写真を撮る機会はもうないと思っていた。上の段の猫民家は3年ほど前から空き家になっており、ここで暮らしていた夥しい数の猫たちは一時難民化して下の段へねぐらを移したからだ。
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 あの子も恐らく下から出張ってきているのだろう。念のため舌を鳴らしてみたが、さらに奥へ離れていっただけだった。
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 君は久しぶりだねー。
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 下の段の猫民家には懐かしい顔がいた。しばらく見ないうちに大きくなったなあ。
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 モノレールの線路下には黒。あの子は上の段が賑やかだった最後の年、たくさん生まれた子猫のうちの1匹だ(こちら)。その年に生まれた黒猫は俺の知る限り2匹いて、あの子はとても警戒心が強くてなかなか近寄れず、もう1匹は闘争心の強い真逆の性格。か弱い子猫と思って油断して指を差し出したら穴が空くほど咬まれてしまい、数時間後には熱を帯びてぱんぱんに腫れたため、地元の整形外科に駆け込んで破傷風トキソイドを筋注してもらったのは懐かしい思い出だ。しかし動物の世界というのは厳しいもので、闘争心の強い方は成猫になることなく死亡し、警戒心の強い方がこうして生き残る結果となった。
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 カレンダーは無事渡せて奥さんにも喜んでもらえた。あとはまったりと近況など話して過ごした。
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 上の段の主人は当初、体調を崩して里に下りたと聞いていたが、この10ヶ月の間に死去したとのこと。
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 以前はどちらかというと黒系やキジ系は上の段に多く、こちらには茶系や三毛が多かったが、上の猫が難民化してからはその均衡が崩れた。現在、猫集落からは茶系や三毛が消滅したそうで、今残っている黒系やキジ系も全部で6匹と言っていた(この辺はちょっと記憶が曖昧)。ここに存在した最後のO遺伝子の持ち主は、さっきの黒と同い年の茶トラ白。俺が最後に会ったのは去年8月のことだった。
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 築何百年かも分からないという兜造の古民家には、かつて90歳すぎの婆さんが一人で暮らしていたが、ある時畑で倒れたまま一昼夜発見されず、そのまま里の施設に入って住む人がなくなった。俺と同じぐらいの年齢と思しき下の段の夫婦は、いずれこの集落を去るつもりのようだが尤もなことだと思う。炭焼きが生業として成立するような時代でもなし、ここはもう普通の老人が暮らせる場所ではなくなっている。最後の猫を看取ったら、あのモノレールもお役ご免となって草木に埋もれることだろう(続く)。
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