一昨日から昨日にかけて1泊2日の小さな猫旅に出かけてきた。経路は去年2月の会津若松猫旅(こちらの記事)とほぼ同じで、大宮から上越新幹線で浦佐へ行き、小出からは只見線を利用したが、今回は前回より1日短い1泊2日。小出で前泊しない旅程を組んだので、初日の29日は府中本町7:17発〜小出9:43着というスジに乗り、只見線の上り列車が発車する13:12までの約3時間半が最初の散歩タイムとなった。小出は魚野川右岸にアーケード街が展開する小さな街で、猫散歩にはほど良い規模だが、前回の猫旅では小出到着が19時半、出発が翌5時半だったので散歩はできなかった。今回の旅行で心残りを解消することはできたが猫的には厳しかった。
運転本数の極端に少ない只見線内に入ってしまうと、基本的には会津若松まで直通する1日3本の列車に合わせて旅程を組むことになる。この季節、始発列車が小出を発車する5:36はまだ真っ暗で、途中の只見まで乗れば7時なので何とか散歩できる明るさになるが、次の列車(14:35発)まで7時間半も開くのはかなり辛い。小さな集落なので居場所もそうそうあるわけではなく、冬場で悪天候にでも当たったら悲惨なことになる。そういうわけで今回は小出を13:12に発車する2番目の列車に乗り、只見で途中下車して次発まで3時間ほど散歩することにした。万一天気が悪かったり猫が見つけられなくても、3時間なら遭難するようなことにはならないはずだ。
小出で見かけたただ1匹の猫はこちら。先日の国境越えで越後湯沢を散歩した時は空振りだったので、あのキジ白が新潟県でカメラに収まった唯一の猫ということになる。
懐きそうな雰囲気じゃないので、固まっているうちに手早くたくさん撮っちゃう。
実はこの近くにもう1匹いたが、そちらはカメラを構える間もなく逃げてしまった。越後の猫は甘くない。
小出で3時間20分、10.8km歩いた散歩は上記の結果に留まり、次の只見も雲が厚くて猫に会える気がまったくしない。人口希薄地帯で偶然を頼りに猫に会うのはそう簡単なことではなく、そろそろ猫は諦めて、残り時間は近くの町営浴場で温まろうなどと考えながら歩いていると、唐突に後ろから呼ぶ声がした。にゃーと鳴いて追いかけてきて、いきなり正面に回り込まれたので心底驚いた。
これはもう只見の奇跡! 写真では伝え切れないフレンドリーな様子はぜひ動画でどうぞ。
只見の町営浴場は21:00までだというので余裕かましていたら、何と月曜日が定休日だそうで扉は固く閉ざされており、列車が来るまでの1時間ほどを駅の寒い待合室で過ごす羽目になった。小出で散歩した時も、立ち寄ったラーメン屋がことごとく定休日で、この日を選んだ自分を恨んだりもしたが、ほかの楽しい出来事がすべてチャラにしてくれた。この日出会った猫は2匹だったが、もの足りなさを感じることはなかった。小出駅前の食堂ではもうすぐ80歳という婆さんが、列車の発車時刻に合わせたメニュー見繕ってくれて、待っている間や食べている間も、上越線や只見線が賑わっていたころの昔話をたくさん聞かせてくれた。これが最後の只見線、猫や婆さんとも一期一会と思えば、いちいち感じ入るものがあって立ち去りがたかった。
猫旅2日目(翌30日)は朝のうち雪が舞っていた。駅前の常宿をスタートした8時半になっても天気は変わらず、水上で挫いた足首にも痛みが残っていて、このままでは夕方まで散歩するのは厳しいかも知れないと弱気になる。猫には30分ほど歩いたところで遭遇した。
逃亡を企てる黒白を必至に宥めてもう1枚。あとで調べたらやっぱり前回も見かけた子だった。
ここはとある猫民家。朝ご飯待ちと思しき三毛の背中が見えている。
他所者には慣れていないらしく、目を丸くしたまま離れていく……。
タイミングもあるとはいえ、今年は暖冬で会津若松市内にもほとんど雪がない。2年前、同じ場所を別の角度から撮った写真(こちら)と比べると一目瞭然。
市街地に入ってからしばらくは天気が回復せず、猫の方も芳しくなかったが、お昼近くになってようやく動きが出てきた感じ。とあるアパートの駐車場で1時間20分ぶりに猫発見。
市街地で見つけた1匹目は水をたらふく飲んで巡回へ出発。俺もさらに歩みを進め、いつも立ち寄る猫たちの駐車場へと向かった。たった1年されど1年、それだけの時間が経てば猫の一群が忽然と姿を消すこともあり得るから、遠くの馴染を訪ねる散歩はいつも動悸が高まるのだった(次回へ続く)。