今日も夜勤なので、この記事が予約投稿で公開されるころは、会社のパソコンに向かって寝ているか起きているかのどちらかだ。夜勤前に会った猫は当日中に載せられないので、今日は先月末の台湾猫散歩の3回目を紹介する(前回はこちら)。
旅の2日目(1月27日)は雨の淡水から始まった。海外旅行としては極限まで少ない荷物で訪れていて、雨具なども持っておらず少し困っていたが、時間の経過とともに南方の空が明るくなってきた。ちょうど淡水駅で猫を見つけたところで、そのまま捷運に乗って移動すれば、天気が好転するかも知れないと思い、次の目的地である瑞芳へ向かうことにしたのだった。
乗り換え駅の台北には40分ほどで到着した。持参した時刻表によれば、台東行きの莒光号(急行列車)に間に合うはずだったが、待てど暮らせど列車が来ない。発車時刻を過ぎて、さてはホームを間違えたかと思ったところで、無情にも目の前を発車していった。台北駅はホームが長く、地下駅のため見通しも悪く、到着していたことにまったく気づかなかったのだった。
仕方がないので後続の区間車(普通列車)に乗ることにして、下車駅も2駅手前の暖暖に変更した。猫を探しながら瑞芳~暖暖を歩くつもりでいたが、向きはどちらでも構わない。莒光号は暖暖には止まらないが、区間車に乗るなら、瑞芳より土地鑑(というか猫鑑)のある暖暖からスタートした方がいいかも知れない。
蘇澳行きの区間車に乗り、暖暖に到着したのは11:06。曇っていて風が強かったが、雨は降っていなかった。1年1ヶ月ぶりとなる線路端の小径を老街に向けて歩いていると、道端の家の前に1匹の猫が佇んでいた。
「可疑日本人來了。你是來偷我的菜嗎?(怪しい日本人が来たぞ。僕のご飯を食べに来たのか?)」
君は若いのに疑い深いね。君たちの写真を撮りたいのと、あわよくば遊んで行きたいんだよ。
そんなやり取りがあったかどうか定かではないが、家の中から様子を窺っていた婆さんが出てきて、猫たちを紹介してくれた。それぞれ名前があるらしいが、すべて台湾華語なので、何を言っているのかも、どんな漢字を当てるのかも、さっぱり分からない。曖昧な笑みを浮かべつつ、「ほう」とか「可愛いねえ」などと相槌を打ちながら、10分ほど会話にならない会話をした。写真は婆さんと一緒に出てきた人懐っこい黒。
猫缶を開ける音を聞いて猫たちが騒ぎ出し、お昼ご飯が始まったところで撮影終了。言葉はまったく通じなかったが、婆さんがこの辺りの猫の面倒を見ていることや、俺が猫好きの日本人ということぐらいは分かり合えたはずだ。最後にお礼を言ってその場を離れた。
キジトラが教えてくれた通り、娘娘様の裏には数匹の猫が集まっていた。
ここは前回も訪れた場所。おこぼれを待つ猫たちで賑わっている。
「君の噂は聞いているよ。ずいぶん前、痩せた日本人が現れて、もの欲しそうな顔で僕たちを見ていたって」
小柄な黒はそそくさと逃走。前回も会った子のように思うが、黒だけに判別不能。
遥か彼方に落ち着いた。遠目にもおっぱいが見えるから、お母さん猫かも知れない。
台湾の人々が親しみを込めて娘娘様と呼ぶのは、海の安全を守る媽祖様という女神様。猫たちの集まる媽祖廟をあとにして、瑞芳に向けて歩き出すと、ほどなく次の猫が視界に入ってきた。
ねえねえ、忙しいところ悪いけど、ちょっとだけ写真を撮らせておくれよ。
見せてくれた毛色はクリーム色。台湾で薄色を見たのは初めてかも。謝謝、ありがとね。
暖暖老街を抜けて住宅街の外れまで来ると、人影も猫影もまばらになった。台湾というのは日本以上に山国であり、瑞芳へ至るにもいくつかの山(というか丘)を越えなければならない。暖暖に着いてから1時間経つというのに隣駅の四脚亭すらまだ遠く、体力的にやや不安を感じながら歩いていると、バラック的な建物の上に茶色いのを見つけた。
最後に紹介するのは逃亡直前の茶トラ。このあと基隆河の支流を渡って隣町に入り、猫たちとの出会いはさらに大賑わいとなった。続きは普段の散歩の合間を見てまた載せる。