今日は出勤時に手荷物がたくさんあって、散歩をお休みしたので、北海道シリーズの2回目として、9月27日~28日にかけて函館市内で出会った猫たちを紹介する。
四十九日の法要や納骨式を終えたあと、北斗市内の菩提寺を起点として、2時間半ほど散歩したのが前回。昨年3月に北海道新幹線が開業し、新函館北斗という珍妙な名前の駅ができたお陰で多少知られるようになったが、もともと北斗は平成の大合併により2006年に誕生した新しい市で、それまでは新函館北斗駅のエリアを亀田郡大野町、今回俺が散歩したエリアを上磯郡上磯町といった。俺は小学校卒業間近まで上磯に住み、その後両親がマイホームを建てたことに伴い、函館近郊の七飯町へ引っ越した。七飯で過ごした中学時代は比較的大人しくしていたものの、高校入学後は函館市内へ通学するようになり、もともと熱しやすい性格のところへ恋なども覚えたため、どっぷりはまってしまって毎日のように深夜まで出歩くようになった。その辺りのことは猫とは関係ないので割愛するが、今回の散歩コース選定には、この当時のデートコースがかなり影響している。
きりがないので話を先に進めよう。北斗市内の散歩のあと、レンタカー屋に車を返すため、国道228号を函館駅へ向けて運転していると、道路脇に小さくて可愛らしいものを見つけてしまった。
奥の方にもサバトラがいた。呼んでみたけど、こっちのことなんか眼中にないみたい。
どちらも小柄で、見た感じ8~10ヶ月ぐらい。逃げない代わりに懐いても来なかった。
この日の宿泊先は五稜郭公園近くのホテル。函館駅前でレンタカーを返却したあと市電に乗り、五稜郭公園前の電停で降りたのが16時すぎ。だいぶ暗くはなっていたが、写真を撮れないほどでもなかったので、チェックインする前に周囲をぶらぶらしてみることにした。
俺が通っていた高校は函館山の中腹にあって、最寄りの繁華街は函館駅から松風町にかけての「大門」と呼ばれるエリアだった。当時は3つの百貨店を筆頭に無数の商店や飲食店が犇いて賑わっていたが、現在はすっかり衰退して空き地ばかりが目立つ。通学経路から遠く外れた五稜郭で遊ぶことは皆無だったため、ぶらぶらするにも土地鑑がなく、電車通り(路面電車の通る大通りをそう呼ぶ)から一本外れると、もうどこを歩いているか分からない。気づけば眼前にこれから泊まるホテルがそびえ立ち、地面にはこちらを窺う猫影が見え隠れしていたのだった。
呼ぶとこちらに顔を向けるが、視線は微妙にずれている。何を見ているんだろうと思って振り向くと……、
君が生まれるよりずっとずっと昔、この街を縄張りにしていた者ですよ。お見知りおきを。
小さいのがわらわら出てきたが、あいにく暗くて写真はもう無理。翌朝もう一度訪ねてみることにして、このあとホテルへ向かったのだった。
そして翌朝。
iPhoneのアラームで6時ちょうどに目覚めると、雨のち曇りとの予報に違わず外は雨だった。雨雲レーダーと睨めっこしつつ朝食を取り、8時すぎになってようやく止んだので、そそくさと仕度して前日の猫路地に行ってみたが、雨上がり直後のせいか猫の子一匹見当たらない。勢い余ってそのまま歩き続けていると、前日羽田から乗ってきたエアドゥ機が頭上を通過して、その騒音にかき消されまいとしてか、やたら大きな声で鳴く猫に遭遇した。
鉢割れチョビ髭のまだら猫。背中がずいぶん濡れているようだね。
このころ気温は12℃ほど。早く体を舐めて乾かさないと、風邪引いちゃうよ。
こちらにはあまり関心を示さず、ただ大きな声で鳴き続けていた。
まだら猫のあと、函館駅のコインロッカーに荷物を預けて、カメラバッグだけの身軽な姿になったのは9時すぎ。市電を降りるなり猫家族を見つけてしまった。
10匹近くいた猫のすべてが茶トラまたは茶トラ白。近寄ったら散ってしまって手に負えないので、比較的動かない数匹にモデルをお願いした。
しかし、避けられてしまってダメ。小柄な茶トラ白だけが最後まで相手してくれた。
この日(9月28日)の散歩はこの茶猫拠点からスタートして、かつての俺の縄張りである西部地区・元町地区をはじめ、デートコースだった時任町や堀川町界隈を歩いてみた。昔日の面影薄い街並みで果たして猫に会えたのか、次回掲載まで眠れぬ夜を過ごすが良い!