この三連休は初日の4月1日に福生市内を12km歩いただけで、あとはどこへも出かけずに、ただひたすら家でうだうだして過ごした。俺は何もせずに一所にじっとしていると、徐々に気分が落ち込んできてどうにもならなくなる。天気は良かったのだし、せめて今日ぐらいは散歩に出れば良かったんだが、体を動かすのは簡単でも、気持ちを動かすというのはなかなか難しくて……。
その4月1日の朝、俺は6時前に家を出て分倍河原から南武線の下り電車に乗った。なぜそんなに早く出かけたのかというと、当初考えていた目的地は福生ではなく、春秋恒例のこまこま散歩に行くつもりだったからだ。しかしここのところの花冷えで府中や立川の桜はまだ満開に至らず、個体によっては五分咲き程度のものまである。桜の巨木と猫たちを訪ねて高麗へ行くなら、もう少しあとの方がいいのではないかと思い直したのだった。
どちらにしても拝島から八高線に乗るのは同じで、高麗まで行っていたら到着は8時になっていたはずだが、東福生で降りたので散歩スタートは7時ちょうど。高麗よりたった4つ手前の駅なのに、なぜ1時間も早く着くのかというと、東飯能での接続がわざととしか思えないレベルで悪く、西武池袋線の秩父行きが来るまで40分近く待たされるからだ。
そんなわけでこの日の散歩は東福生から。11時半から新元号の発表があるというので、なるべくそれまでには家に帰れるよう、少し急ぎ足で歩き始めると、ほどなくして黒白が日なたぼっこしているのを見つけた。
緑色に塗られた壁際で、常駐の黒白がぽつねんとしていた。大白斑のお友達はいないみたいね。
緑一色は麻雀なら縁起がいいが、写真を撮るには厄介で、カメラが無理にホワイトバランスを取ろうとしてマゼンタが強くなり、変な色合いになってしまう。RAWで撮っていても完全に修正するのは難しい。
河岸段丘の緩い坂道を下って、歓楽街へと足を踏み入れる。踊り子さんの妹分の二毛が定位置にいた。
初めて会った7年前とまったく同じ場所。よほど安心な場所なのだろうな。
ここは踊り子さんも使う寛ぎ処。近くにいるかと思って辺りを見回してみたものの、それらしい猫影はない。去年7月を最後に見かけなくなって9ヶ月が経ち、そろそろ諦めモードになってきた。もし無事にしていたとしても、遠くへ引っ越した今、この出現頻度ではそうそう会えない。
もし消息を知っているなら、俺が会いたがっていたって伝えておいて。
この日は予想以上によく晴れて、高麗へ行かなかったことを少し後悔し始めた折、給湯器の上でまったりしているのが目に入った。
猫が乗っかっている給湯器は9割方がリンナイかノーリツで、それ以外は皆無に近い。猫が気に入る理由でもあるのかと思って調べたら、そういうことではなく、給湯器のシェア自体がその2社で占められているらしい。ちなみに我が家は少数派のパーパス。
福生というのは街の色分けがはっきりしていて分かりやすく、歓楽街を抜けると次は商店街へ出る。もちろん猫はそのどれにもいる。
こちらは白猫のように見えるけど、実はキジ白。尻尾がキジトラ模様だし、肉球黒いし。
黒白は逆光になっちゃった。順光だとこんな感じの可愛い子。
街を抜け、広い公園にたどり着いたのは8:40。平日のせいか人影はまばらで、ぽつぽつと猫の姿が見えている。
繁華街や住宅街と違い、人家もない広い公園での暮らしは格段に厳しいようで、ある日見かけた猫が次にいないということは珍しくない。そんな中でこいつは最も古い2014年7月からの顔見知り。何か様子が違うと思って近寄ったら両耳がなくなっていた。中耳炎にでもなったのだろうか。
散歩はこのあともしばらく続き、撮った写真はちょうど掲載2回分となった。後半はまた後日ということで一つよろしく。