礁溪は台北から1時間という好立地にある温泉街で、週末にもなるとたくさんのレジャー客が訪れ、大変な賑わいを見せる。台湾の温泉というと山間の鄙びた宿を想像しがちだが、礁溪は道路沿いに鉄筋コンクリートの温泉旅館やホテルが建ち並び、俺の知る日本の温泉街に例えれば、東京における熱海のような位置づけかと思う。
台北から礁溪までは鉄道か高速バスの二択だが、鉄道だとかなり遠回りで、140km/hでぶっ飛ばす普悠瑪号の最速列車でも68分かかる。バスはそれほどスピードを出せないが、雪山山脈をぶち抜く北宜高速公路を経由するので、所要時間は普悠瑪号とほとんど変わらない。しかも朝5時すぎから夜中の1時近くまで20分おきの運転で、運賃も安いとくればバスの圧勝だ。
勝ち目のない勝負を放棄したのか、礁溪に停車する優等列車は多くない。冬山から乗った区間車が11:05に到着して、次発が11:44の莒光号、次々発が14:20の自強号となると、莒光号を選ぶほかない。窓口で切符を買うことを考えれば、散歩できるのは正味30分といったところだが、それでも猫がいてくれちゃうから台湾猫旅はやめられない(前回の記事はこちら)。
イカ耳の黒白は母猫。子猫も一緒にいたが、こちらに気づくなり茂みの向こうへ逃げてしまった。
茂みの向こう側に回ってみると子猫は2匹。しかし1匹は大変な素早さで逃走し、この子も再び茂みの向こうへ逃げてしまった。
温泉旅館が軒を連ねる表通りは賑やかすぎるので、裏通りを歩いてみた。日陰で密やかにしているのがいるね。
キジ白の少し先には茶トラがいた。温泉街というのは日本も台湾も猫密度が高いんだな。
君たちのお陰で、散歩している時はスクーターをチェックする習慣がついたよ。
今回の猫旅は前半の3日間が淋しい結果だったので、時間のある限り猫を探さなければならない。礁溪の次は土地鑑も猫勘もある暖暖を目指すことにしたが、急行列車に相当する莒光号は暖暖には止まらない。二つ手前の瑞芳でひとまず降りて、後続の区間車を待つことにした。
コインロッカーにリュックを預け、駅前をぶらぶらしていると、いつもの屋根に茶渦ファミリーが出てきてくれた。
暖暖散歩が終わったあとで、最後にまた来るつもりだったけど、先に会えたので良かった。
出てきたのは知った顔の茶渦白が1匹のみ。さすがに外国の猫となると、思うようには会えないものだなあ。
区間車が出るまでの30分ほど、茶渦ファミリーの屋根を眺めていたが、結局ほかの猫は現れなかった。暖暖で最初に会ったのは見慣れた坂道の黒白。ここは初めて台湾を訪れた2014年から定番の猫拠点だ。
タキシードの黒白は、突然現れた日本人を訝しむような顔つきをしている。
静々と近寄ってきて、こちらを凝視する三毛。もしかして俺のこと覚えていてくれた?
この子には1月(2019年)にも会っていて、モデルになってくれたお礼に、日本製高級カリカリを進呈したのだった。10ヶ月も前のことを覚えているなんて、よほど美味しかったのかな。
ここは猫の巣窟。そんな俺たちの様子はもちろん監視されているわけである。
気配を嗅ぎつけてもう1匹追加。次回も暖暖で見かけた猫たちを紹介する予定。