猫と台湾鉄路(13)


新北市の猫

 2ヶ月近くに渡って紹介してきた台湾猫旅も、最後の散歩地である瑞芳を残すだけとなった(前回の記事はこちら)。
 今回の猫旅は猫を探すだけでなく、台湾鉄路完乗、つまり台鉄のすべての路線に乗るという目的があり、2014年12月から少しずつ乗り潰してきたのと併せ、4日目に乗った宜蘭線の蘇澳新〜蘇澳で無事達成することができた。台湾の都市部は急ピッチで交通網の整備が行われていて、そうこうしている間にも北部では桃園捷運(MRT)が開業し、台北捷運では間もなく環状線の一期区間が走り出す。LRTの導入にも積極的で、淡水では淡海軽軌、高雄では高雄軽軌が営業を開始している。捷運や軽軌にまで手を出すつもりはないが、台湾では今後も鉄道が活躍を続けるものと思われ、愛好者としてはとても嬉しい。
 台湾には上記のほかにもいくつかの鉄道がある。一つは台湾高速鉄路(高鉄)で、日本の新幹線700系電車をベースにした700T型が活躍している。意識して乗り潰そうと思ったことはないが、台湾全域を旅するとなるとむしろ避けては通れず、すでに南港〜左營の全線に乗車済みだ。
 もう一つの鉄道は阿里山森林鉄路(林鉄)で、こちらは台湾林務局が運営する軽便規格の森林鉄道だ。森林鉄道といっても現在の阿里山はヒノキの伐採が禁止されているので、例外的に木材を搬出したり保守用の工事列車が少数走るほかは、もっぱら観光鉄道として利用されている。本線の阿里山線といくつかの支線で構成されており、そのうち阿里山線の十字路〜嘉義に乗ったのはすでに紹介した通り。十字路から先は2009年8月の台風で大きな被害を受け、10年経った今も運休中なので乗りたくても乗れない。
 台湾には台湾糖業鉄路(糖鉄)というのもある。畑で収穫したサトウキビを製糖工場に運ぶ目的で、台湾南部に網の目のような路線網を持ち、その多くが旅客営業を行っていた。糖業産業の衰退により1980年ごろから急激に縮小し、今は観光用を除けば虎尾の馬公厝線しか残っていない。虎尾というのは製糖工場のほかにも国立虎尾科技大学を擁する人口7万人の街であり、鉄道需要が見込めるとの判断からか、この馬公厝線を延長して5km離れた高鉄雲林駅に連絡し、旅客輸送を復活させる構想があるそうだ。
 とにかく台鉄の路線にはすべて乗ったので、あとは瑞芳の猫に会って帰るだけ。台湾猫旅5日目(2019年11月29日)は蘇澳、冬山、礁溪、暖暖と進み、最後の散歩地である瑞芳には14:38に到着した。ちなみに礁溪から暖暖へ向かう際、途中駅の瑞芳で区間車に乗り換えるため改札から出ており、その時に駅前の茶渦ファミリーにも会えた。あとは古馴染のキジトラがいるかどうか。
 路地を覗いてみると、最初に目に入ってきたのは茶トラ。地上変圧器の上でちんまりしていた。
新北市の猫

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 猫好きの気配を察したのか、車の下からもわらわらと出てくる。
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 細面のキジトラ。こいつは古馴染のキジトラにそっくりなので、時々間違える。あいつは耳に切り欠きがないんだよな。
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 まあでも君も元気そうでよかった。
新北市の猫

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 人懐っこい性格もそっくり。きっと家族なのだろうなあ。
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 最初の茶トラは待ちくたびれた様子。申し訳ない、忘れてました……。
新北市の猫

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 今度ここに来るのは1年後かなあ。ほかの猫たちにもよろしく伝えておいてね。
新北市の猫

 帰りの電車まであと1時間。今回も池上米を買って帰るので、検疫で時間がかかることを想定して、早め早めに動かなければならない。民族街の猫たちと別れ、裏路地に入ると、定点の猫拠点に常駐のシルバーがいた。
新北市の猫

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 毛色はサバトラにタグ付けしているが、明らかにティッピングが生じているので、厳密にはシルバーシェード(shaded silver mackerel tabby)だと思う。初めて会ったのは2018年3月で、その時は兄弟と思しきサバ白もいた。
新北市の猫

 日が傾くにつれて徐々に雲も厚くなり、暗くなった路地はそろそろ猫の時間が始まる。
新北市の猫

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 きれいな毛並みの茶トラ。1歳ぐらいかな。
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「我已經是成年貓了!(僕はもう大人だよ!)」
新北市の猫

 そんな俺たちの様子を横丁で窺っているのもいた。
新北市の猫

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「こんなところに外国人だなんて、珍しいわね」
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 私は日本から来た猫好きの者ですよ。我還帶來了美味的貓乾乾。
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 茶トラと年恰好が似ている。兄妹かも。
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 行動も似ているな……。
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 最後に台湾名物「スクーターと猫」を見せてくれた2匹。ありがとうね、また会えるよう願っているよ。
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 こうして2019年秋の台湾猫旅は2匹の若い猫で幕を閉じた。昨日の記事にも書いたように、次回の猫旅の日程はすでに決めているが、俺が触れ合う猫はみんな外の猫。次また会えるとは限らない。瑞芳の2匹と別れてから3時間後、基隆河に沿って高度を上げる中華航空222便のシートにもたれ、眼下に広がる街の灯の一つ一つに猫たちの面影を見出すのだった。
 最後に今回の集計を。初日の11月25日は六家線(六家~竹中)と内灣線(内灣~北新竹)を完乗するため、散歩区間や時間もそれに合わせることになり、見かけた猫は新竹県橫山郷で6匹と、宿泊地である彰化県和美鎮の1匹の計7匹に留まった。なお和美鎮の1匹は和美民宿の飼い猫「二九」。
 2日目の11月26日は彰化県和美鎮で11匹、二水郷で1匹、嘉義市西区で1匹、東区で2匹の計15匹。二水の不調が残念だったのと、嘉義が都会すぎて日中帯は厳しかった。早朝なら駅裏でたくさんの猫に会えるはずだ。
 3日目の11月27日は阿里山森林鉄路に乗った日であり、十字路〜嘉義に3時間もかかって散歩時間も限られたが、十字路の皮蛋ピータンに会えたことは、かけがえのない思い出になった。嘉義県竹崎郷で4匹、阿里山郷で6匹の計10匹。
 4日目の11月28日は宜蘭線の残り(蘇澳新~蘇澳)を完乗するため、高雄で散歩したあと空路で花蓮へ飛び、さらに鉄道で北上するという大移動だった。猫の方は高雄市鼓山区で2匹、旗津区で16匹、前鎮区で3匹、花蓮県新城郷で5匹の計26匹で、旗津島で頑張った甲斐があった。
 帰国日の11月29日は朝の蘇澳散歩が雨だったものの、次の冬山からは天気が回復したので、遅れを取り戻すべく猫探しに集中した。宜蘭県蘇澳鎮で4匹、冬山郷で12匹、礁溪郷で4匹、基隆市暖暖区で10匹、瑞芳区で7匹の計37匹。
 5日間の合計は95匹と、前回の162匹には遠く及ばなかったものの、今回もいくつかの嬉しい出会いがあった。だからこのテキストを打ち込んでいる隣には、次回猫旅の旅程表が並んでいて、書いては消し、消しては書いてを繰り返しているわけである。
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