ゴールデンウイークが終わって行楽地から人が消えたので、俺の出番だ。
……と思ってみたものの、今月は早くもピンチ気味なのであまりお金がない。予定では小湊鉄道に乗りに行こうと思っていたが、いつの間にかダイヤ改正していたらしく、4:53の始発に乗っても現地に着くのは9時すぎになることが判明した(改正前は8時半に着けた)。それだと天気によっては猫が昼寝タイムに入ってしまうのでちょっと遅い。立川までタクって中央線の始発に乗れば8時前に着けるが、深夜割増の時間帯でもあり、少なくとも3,000円は余計にかかる。平日だから「休日おでかけパス」も使えないし、俺は年寄りだから帰りはグリーン車に乗らなければならない。食事代を含めれば1万円近い出費になるので、今回は諦めて、羽田の近くの海猫に会いに行くことにした。
五井ほど遠くはないが、それでも始発に乗って現地に着いたのは7時。人気のない公園をゆっくり散策していると、枯れ草の上で行き倒れ的に寝ているのがいた。
海を眺めてぼけっとしていると、しばらくして岩場の上に黒白が現れた。
前回も会った子かなと思ったら模様が違ってた。
「海の男といっても、海中で生活しているわけじゃないぜ。俺は海産物じゃないからな」
海岸から離れた場所にも猫発見。こんな早くからここに来たことはなかったが、やっぱりたくさんいるらしい。
あちこちに残るゴミが、昨日までの混雑を物語っている。こんな地味な公園でも、休みの日は人がたくさん来るからなあ。
「……外国には、それはそれはきれいな子がたくさんいるらしいな。空の男はカッコいいからモテモテだろうな。しかも俺ってばチョビ髭だから無敵だよおいどうするよ困ったなー」
「……いやいや待て待て待て、俺にはサバ子さんという許婚がいるのだ。異国の俺を想うサバ子さんを裏切るなんてできやしない。俺はバカだ。バカバカだ。うーんぶつくさぶつくさ……」
……ということで前半終了。残りは後日。