ブログを開業してから11年以上になり、この間ずいぶん多くの場所を歩き回ってきた。俺の猫散歩は東京都多摩地区や神奈川県川崎市北西部が主なエリアだが、中でも多摩地区についてはすべての自治体で猫を見つけている。もちろんその中には奥多摩町や檜原村のような僻地や、都民でも存在を知らない人の多い日の出町なども含まれている。
東京都というのは23区、多摩地区、島嶼という三つの地域で構成されていて、とりわけ広い多摩地区の全自治体で猫を見つけたのだから、次は23区となるのはごく自然な流れだ。ちなみに23区のうち未訪問なのは台東区、墨田区、品川区、目黒区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区の八つ。多摩地区と違って面積が狭く交通機関の発達している23区は、自宅から行きにくいことを除けば散歩するのも猫を見つけるのも恐らくたやすい。先日、伊豆諸島に9島ある有人島のうち4島(3自治体)を散歩したこともあり、この勢いで東京都の全自治体をやっつけてみようと思い立ったわけである。
ただ、これがかなり困難なミッションであることは初めから分かっていて、その最大の理由は小笠原諸島(小笠原村)の存在だ。伊豆諸島の青ヶ島(青ヶ島村)もなかなか行くにくい自治体だが、これは船の欠航率の高さとヘリコミューターの定員の少なさに起因するもので、それらがクリアできれば日帰りだって可能だ。ところが小笠原諸島となるとそうは行かず、週2便・片道24時間の船に頼るほかないので、旅程に最低6日間は必要なのである。夏の繁忙期は当日折り返し便があるので0泊3日という鬼スケジュールも可能だが、それで猫を見つけられなかったら涙ちょちょ切れだ。
話が逸れてしまったが、ラスボス・小笠原村についてはあとでゆっくり考えることにして、今日のところは八つ残っている区部のうち、行きにくい方から先に荒川区、足立区、葛飾区を片付けることにした。スタート地点に設定した南千住は2回の乗り換えで所要時間は正味1時間。家を出たのが5:20で、散歩を開始したのは6:40だった。
スタートから1匹目を発見するまでに要した時間は20分。初めての土地としては悪くない出だしで、しかももう転がっている!
熟女風の三毛は近所の飼い猫。一通り転がったあとは自宅へ戻って行った。
カラスも興味を失うくらいだから大したものは入っていない。今朝はツイていなかったか。
「もう少し待てば美味しいものが食べられるけど、僕は成長期だからお腹が空くんだよ」
北千住は何度か乗り換えで利用したことがあるが、南千住という駅は初めてで、所在地が荒川区ということも知らなかったくらい(北千住は足立区)。荒川区というのも都電の終点があるぐらいの知識しかなく、初めて尽くしの街で3匹目を見つけられたのでだいぶ気が楽になった(猫行脚のような3匹縛りは設けていないけど)。
逃げようとして腰を浮かせたところを何とか宥めてもう1枚。これが荒川区内で見かけた最後の猫。
足立区は最初のうちかなり難渋し、千住大橋を渡ってから1匹目を見つけるまでに1時間15分もかかってしまった。とある街角で出会ったサビは恐らく氷山の一角で、この付近にはたくさんの猫が生息しているものと思われる。
なぜそう思うのかというと子猫を見かけたから。秒で逃げられたけど。
都下の多摩地区とも都内の城西地区とも違う、昭和の大阪的雰囲気の漂う下町。昔見た「泥の河」という映画を思い出しながら歩いていると、行く手の猫が風景に溶け込んだまま座っていた。
首輪をつけたシルバークラシックタビー。道行く人が声をかけたり舌を鳴らしたりしている。
ここで紙幅が尽きたので、今日のところはお澄まし顔のシルバーさんでおしまい。後半では足立区の残りと葛飾区の猫を載せるのでお楽しみに。