初めての熱海(伊豆山編)


熱海市の猫

 昨日は職場の仲間と飲みに行っていたので帰りが遅く、ブログを更新する元気は残っていなかった。今朝も少し二日酔いが残っていたが、何とか夜までには回復したので先週の熱海猫散歩を紹介する運びとなった。いつも思うことだが焼肉という食べ物はどうも性に合わないというか、高くて小さな肉をちまちま焼く行為が面倒臭いし、お腹が満たされないうちに酒をたくさん飲んでしまうので非常に予後が悪い。もっとスピーディに大量の肉をガツガツ食べたいとの思いが強いので、明日はジンギスカン用のラム肉を買いに福生へ出かけるつもりだ。本来なら髪を切りに行ったり運転免許証の更新など、やらなきゃならないことは色々あるのだが、このフラストレーションを晴らさないことには先へ進めない。
 前回の記事にも書いたように、熱海散歩は2回に分けて行い、その前半は南西部に位置する山の上ホテル付近からスタートして熱海駅へ至る6.1kmを歩いた。なるべく下り勾配になるようルートを選んだお陰で、急峻な地形の割に疲労が少なくて済んだので、そのまま駅前からバスに乗って後半の散歩地へ進むことにした。こちらも前半と同じく下り勾配になるように考えてのことだったが、想定していたルートの多くが通行不可で、あちこち彷徨っているうちに体力のほとんどを消耗することになった。後半の散歩地に選んだのは熱海市の伊豆山地区と呼ばれるエリアで、2021年7月3日に発生した土石流により大きな被害を受けたことで広く知られるようになった。当然のことながら土砂というのは谷筋を選んで流下するものであり、犇めくように建っていた民家や商店はことごとく流され、谷を横切る路地は今も分断されたままになっている。このエリアを散歩地に選んだのは被害状況を自分の目で見たかったからだが、そういうわけで被災地に立ち入ることはではできなかった。
 猫の方はほどなく発見。時刻は正午を過ぎたころ。
熱海市の猫

熱海市の猫

 ここは某有名神社の参道脇。837段からなる長い階段に往来はほとんどないが、それが体力的な問題なのか、それとも災害の影響なのかは分からない。
熱海市の猫

 ここは猫が多いらしいし、君の仲間にも巻き添えを食ったのがいるのだろうね。
熱海市の猫

 急斜面に建つ民家の庭に若いキジトラが佇んでいた。
熱海市の猫

熱海市の猫

 警戒して身を低くするキジトラ。怪しい者ではないのだよ。
熱海市の猫

熱海市の猫

「この先には行けないよ。道が復旧していないんだ」
熱海市の猫

 キジトラの民家を過ぎると視界が開けて眼下に海が見えた。そしてこの家にもキジトラが。
熱海市の猫

 お手々ないないモードで寛いでいる。ここは日当たりが良くて気持ちがいいね。
熱海市の猫

「私のお気に入りの場所なの」
熱海市の猫

 標高差を利用したバルコニーにもキジトラの姿があった。荒れて見えるのは恐らく住む人がいないから。
熱海市の猫

 竹薮の向こうが土石流の流路。この細い路地も被災前は谷の向こうへ続いていたが、現在は通行禁止になっており、向こう側へ行くには参道の階段を上るか下りるかして大きく迂回するほかない。いつまた災害が起きるか分からないという不安からか、周囲には避難あるいは放棄したと見られる荒れた家屋が点在していた。俺の猫散歩も経路変更を余儀なくされ、100m下にある海岸通りのバス停まで下りることになった。
熱海市の猫

 まあでも猫はたくさんいてくれたので徒労ではなかったけれどね。
熱海市の猫

熱海市の猫

 古い民家の濡れ縁で背中を温めていたのは麦わらさん。
熱海市の猫

 しゃがんで舌を鳴らしたら近寄ってきた。いい子だね、おいでー。
熱海市の猫

「呼びました?」
熱海市の猫

 突然割り込んできて、どっかと腰を下ろした長毛キジトラ。麦わらさんは憮然としている。
熱海市の猫

熱海市の猫

 山寺の1,070段すら楽勝だったのだから、837段の階段など取るに足りないと思っていたが、猫を探しながら何度も行ったり来たりしているので、この時点でかなり死にそうになっている。不審な挙動でぜいぜい喘ぎながら歩くニンゲンを付近住民が監視していた。
熱海市の猫

熱海市の猫

 お願いだから逃げないで! 君に近寄るだけでも10段下りて15段上っているんだから!
熱海市の猫

「勝手なこと言ってら」
熱海市の猫

 歩けば歩くほど猫に会えそうな参道だったが、体力と時間が切れたので海岸近くまで下りてきた。民家の敷地で猫が香箱を組んでいるね。
熱海市の猫

熱海市の猫

 後半で歩いた距離は3.0kmと短かったが、100mの標高差を行ったり来たりして疲労困憊。このあと逢初橋バス停から13:50発のバスに乗り、熱海から川崎経由で帰宅したのは17時近かった。
熱海市の猫

 伊豆山地区の土石流災害は現在も刑事・民事の両面で係争中であり、原因や責任の所在はこれから明らかにされていくものと思うが、盛土にしろ太陽光発電施設にしろ、あのような急傾斜地に、しかも集落が存在する谷筋の上に造成するとは信じ難い。土石流に流され更地となった谷に一本残った逢初川を眺めながら、強い憤りを感じた散歩でもあった。
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