今日は夏日となり八王子アメダスでは25.8℃という最高気温を記録した。明日も同じような天気になりそうだったので、今シーズン初めてワイシャツで出勤してみたが、よく晴れて日差しが強かったせいか、歩いているとそれでも暑く感じるくらいだった。街の猫たちも大方お昼寝に入っていたようで、西八王子~八王子の6.1kmを1時間半ほどかけて歩いてみたものの、道中見かけた3匹はどれも撮影困難で見事に玉砕。予期せず台湾猫の出番となったため、慌てて文章書きに取りかかって現在に至る。
今日紹介するのは太麻里郷大溪村で見かけた猫たちの後半編。「郷というのは日本における村に相当する」などと説明しておきながら、その下の行政区分に村が出てくるとはどういうわけかと思われるかも知れないが、台湾には市区鎮の下に里、郷の下に村という行政区分が存在するのである。村里の由来は日本の大字に似ているが、台湾では道路方式の住所表記が一般的で、位置特定に必要のない村里名はしばしば省略される。村里の下には鄰という区分があり、これは規模からすると小字に相当すると思うが、日本とは違い単なる番号で表記される。例えばこの日散歩した達仁郷公所の正式な住所は台東縣達仁郷安朔村復興路九鄰14號だが、村と鄰を省略して台東縣達仁郷復興路14號と表記することが多い。
太麻里郷に入って最初の散歩がここ大溪村で、それが終わったら8kmほど北の金崙村へ向かうことになっているが、鉄道・バスのどちらを使うかはまだ未定。猫密度次第では18時すぎの日没直前まで粘るつもりだったが、結論を先に書くとそれほどの大盛況ではなかった(前回の記事はこちら)。
民家の敷地の小さな植え込みに猫が2匹。
逃げ足の速い三毛とは対照的に、キジ白は横たわったまま動かない。瞳孔が拡散しているので、目が不自由なのかも知れない。
成猫と違って小さな子は隠れているね。まあ俺の猫サーチパワーの前には無力だけど。
へなへなと腰を下ろした黒白子猫。近くでお母さんが見張っているかと思ったけど誰もいなかった。
車の下で涼んでいるのもいた。夕方になっても出てこないのは、最高気温32.4℃という暑い日だったせいかな。
奥の渦巻きはさっきも見かけた子。もしかしてお子さん?
車の陰の2匹の並びには三毛もいた。暑さが一段落してほっとした表情。
日なたで転がっているのは別の三毛。こちらは割とフレンドリー。
大溪散歩はちょうど1時間で終了し時刻は16:15。この日の宿泊地である金崙へ行くには16:24発のバス(8135路)か16:26発の莒光号(707次)があり、これはもう本当にどちらでも良かったのだが、たまたま駅の方が近かったので莒光号を選んだ。
集落の目抜き通りから少し離れた瀧溪駅に行ってみると、莒光号と交換待ちの列車が先着していて、妙に新しい青い車体は藍皮解憂号と呼ばれる4両編成の旧型客車列車だった。これらの車両はもともと台東~枋寮を結ぶ定期列車(普快車)に使用されていて、レトロ好きな台湾人に一定の人気を博していたが、老朽化に伴い2020年12月に廃止。その後それらの車両は徹底的にリニューアルされ、現在は団体専用列車としてほぼ毎日運転されている。ホームではカメラをぶら下げた数人の鐵路迷(鉄オタ)が所在なげにしていたが、藍皮解憂号の撮影は済んでいたらしく俺と同じ莒光号に乗り込んだようだった。
台東行きの莒光号は夕暮れの海岸線を9分かけて16:35に金崙着。地下通路をくぐって階段を上るとそこには猫がいた。
「そこにもいますよ」と駅員に日本語で教えられて振り向くと、コンクリートの地面で伸びているのがもう1匹。
今日は暑かった上にたくさん歩いたし、もう店仕舞いのつもりでいたよー。ていうか何で俺が日本人って分かるの。
ちなみに金崙駅の2匹が今日の59匹目と60匹目で、一日で会った猫の数の一位タイ記録を達成。もう一つの一位も花蓮県から台東県にかけての台湾東部だったし、やっぱりこちら側は猫が多いんだな。
大溪で見かけた鐵路迷も金崙に泊まるらしく、駅舎内ではいつの間にか猫の撮影会が始まっていた。2匹とも駅員に懐いていて、大切にされている様子が見て取れる。
……そしてこちらがこの日最後に撮影した猫で新記録の61匹達成。おめでとうございます。
金崙は猫が多いとの評判に違わず、このあとも駅から宿までの間はもちろん、宿の周囲やコインランドリーへ行く間にもたくさんの猫に遭遇し、カメラに収まらなかったその数は20匹以上にもなった。翌3月22日は早朝から金崙集落を散歩することにしており、いったいどれだけの猫が待っていることかと期待に胸を膨らませつつ、疲れた体をベッドに投げ出したのだった。長い長い台湾猫旅3日目はこうして終わった。