台湾田舎巡り(17)


太麻里郷の猫

 先月の休暇が少なかった分、今月はぽつぽつと休みがあるので助かっているが、そういう時に限って雨に祟られるのが常。最近は当てにならない天気予報でいちいち気を揉むことにも疲れてきて、目覚めた時の空模様でどうするか決めることが多くなった。今朝は窓の外を確認するまでもなく、屋根を叩く雨の音が枕元まで聞こえていたので散歩は諦めた。普段なら休載が続いて困るところだが、今はまだ台湾の猫がわんさか残っているのでネタには困らない。
 最初に紹介する2匹は前回に続き金崙で見かけた子。花と緑で彩られた路地の向こうで茶色いのが寛いでいる。
太麻里郷の猫

太麻里郷の猫

 警戒しているように見えて、実は人懐っこいらしく、一度は近寄る素振りも見せてくれた。
太麻里郷の猫

 しかし、バスの発車まであと10分。気持ちが急いているとどうしても猫に伝わってしまって、このように距離を置かれることになる。
太麻里郷の猫

 排湾語で言うところのkiokai、日本語で言うところの教会で金崙最後の猫発見。この写真には2匹写っているが、少し慌てていたせいで奥の1匹にはまったく気づいていなかった(探してみて)。
太麻里郷の猫

 Oh! ハイセツ!
太麻里郷の猫

 教会の敷地に脱糞するのは罰当たりと自覚しているような顔つき。立派な成果物をそそくさと隠して去っていった。
太麻里郷の猫

 金崙から次の散歩地である太麻里までは10kmほど離れていて、鉄道なら1駅10分、バスだと15分かかるが、今回は8:33発の東台灣客運8135路というバスを利用した。南迴線の太麻里駅は集落から離れた高台にあり、坂を下りてまた戻るという散歩ルートは時間や体力がもったいない。バスなら海岸に近い省道(≒国道)を通るので、標高の低い方から高い方へ一本道のルートを辿れるし、金峰郷のもう一つの飛び地である正興村に立ち寄る時間的余裕もある。これらの理由からバスを降りたのも集落の中心に位置する太麻里バス停ではなく、その二つ手前の德其里というバス停だった。これは2018年11月に太麻里を訪れた時と同じルートであり、その時はここで23匹もの猫に会えたので、いずれ機会があれば再訪したいと思っていた。
 2018年の23匹のうち、正興村では7匹の猫に遭遇したが、今回は母娘と思しき2匹のみ。
金峰郷の猫

金峰郷の猫

 親子で固まる2匹。そして次の瞬間……、
金峰郷の猫

 お母さんだけが取り残された。
金峰郷の猫

 太麻里の街なかでは前回食べて美味しかった香香牛肉麵という店で朝ご飯にするつもりだったが、どうしても場所を思い出せず断念。4年半前に一度来たきりで、コロナ禍を生き残れたのかも分からないし、10時半という時間に開店していたのかも微妙だが、あとで調べたところでは今も営業していて評判もいいようだ。猫はシャッターの向こうからこちらを眺めているが、ここが香香牛肉麵からわずか150mしか離れていないとは思ってもみなかった。
太麻里郷の猫

太麻里郷の猫

 頑張って気を引いてみたものの、頑なにシャッターの向こうから出ようとしない。俺には見えない結界があるのだろうか。
太麻里郷の猫

 日よけが張られて薄暗い商店街。小さな日なたに三毛が座っていた。
太麻里郷の猫

太麻里郷の猫

 気温は25℃ぐらいなので日なたじゃ暑い気がするけど、日陰と行ったり来たりして調整しているのかしら。
太麻里郷の猫

 道路向かいには白もいた。この子、前回来た時にも見かけた子じゃないかなあ(こちら)。古い方の写真はキトゥンキャップが残っていたりして、ぱっと見だと別猫のようだけど、あとで光彩を比べてみたら形状がよく似ているんだよなあ。ちなみに撮影地点は前回と500m離れているが、4年半という期間からしてもその程度は普通に移動する。
太麻里郷の猫

 気温が上がっているせいか屋外の猫影は薄く、出歩いているのはほとんどいない。
太麻里郷の猫

 たまに見つけたと思ったらこの有様。
太麻里郷の猫

 中にはああいうのもいるけど少数派。牛肉麺の代わりにコンビニで食事を済ませたし、そろそろ駅に向かおうかな。
太麻里郷の猫

太麻里郷の猫

 近寄ってみるとクラシックタビー。いい子だねー、おいでー。
太麻里郷の猫

 紆余曲折ののち地面に降りてきてくれたが、指の挨拶までには至らず残念。
太麻里郷の猫

 散歩の最後に太麻里駅近くの猫民家を覗いてみた。前回は10匹の猫がとぐろを巻いていた場所だが、今回は茶トラ白が1匹。しかもかなり警戒心が強そう。
太麻里郷の猫

太麻里郷の猫

 必死になって舌を鳴らしていると、こちらに興味を持ったらしく、少しだけ距離を詰めてきた。
太麻里郷の猫

 しかしここまで。この直後、車の下に潜ったまま動かなくなってしまった。ちなみにこいつには2018年11月にも会っていて、当時はまだあどけなさの残る子猫だった。外国で、しかも4年半という時を経て、再会できる猫が複数いるというのは本当に嬉しくて楽しいことだなあ。
太麻里郷の猫

 太麻里11:06発の区間快車(快速列車)に乗って9分で知本へ。台東空港から蘭嶼へ飛ぶ德安航空7507便は12:25発で、少しでも早く搭乗手続きを済ませるため、メジャーな台東駅ではなく二つ手前の知本駅からタクシーに乗った。知本駅前に客待ちのタクシーが存在することは事前にGoogleストリートビューで確認しており、実際に行ってみると確かに5台ほどが駅ロータリーに車を付けていた。参考までに書いておくと知本駅から台東空港まではタクシーで約15分。台東駅から乗るよりも数分余計にかかるが、列車の進行方向や(北行きの列車は台東よりも15〜20分早く知本に着く)、台東駅の大きさとタクシー乗り場までの距離を考えて、どちらの駅を利用するか決めた方がいいと思う。なお台東空港に最も近いのは康樂駅だがここにはタクシーもバスも民家も何もない。
 以上、ここまでが台湾猫旅4日目(3月22日)の前半となる金崙〜太麻里の散歩記録。次回からはついに念願の離島・蘭嶼での猫散歩が始まるわけだが、あらかじめ書いておくと、この島では強風と野犬に大変な苦戦を強いられることになった。当初はスクーターを借りるつもりで運転免許証の中国語翻訳文も用意しておいたのだが、蘭嶼には俺の免許で運転できる50ccのスクーターをはじめ、免許不要の電動スクーターも存在せず、周囲40kmの半分ぐらいに達すると思われる島内の移動はレンタサイクルに頼るほかなかった。2018年1月に訪れた琉球嶼では機車出租(レンタルバイク)の客引きがしつこくて、振りほどくのに苦労したほどだったが、ここ蘭嶼は原理主義的というか、免許証記載の車種しか貸し出さないのはもちろん、台湾の免許以外は受け付けないという業者さえあった。今回の台湾猫旅はもともと4泊5日の旅程を組んでいて、蘭嶼に割り当てた滞在時間はわずか2時間半だったが、これで自転車となるとどこへも行けないことを悟り、5泊6日に延長した上で蘭嶼には1泊することにしたのだった。原理主義のレンタル業者を避け、「レンタルバイクあり」を標榜する民宿を予約して、超法規的に125ccのスクーターを貸してくれないかと淡い期待を抱いたりもしたが、蓋を開けてみたらバイクの貸し出しは業者に外注しており、どうやっても原理主義から逃れられない運命なのだった。
太麻里郷の猫

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